第16話 【BLACK EDGE 其の16 時間を稼ぐ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第16話
【BLACK EDGE 其の16 時間を稼ぐ】
フェアのある反対方向のフロアでは、ブラッドが警備員と戦闘をしていた。
龍の力を持ってブラッドは、銃を持っている兵士とも戦うことができる。しかし、
「数が増えてきたな……」
襲撃から数分。施設内にいる警備員達が集まりつつあった。
あとどれくらいで時間を稼ぐ必要があるだろうか。
グリモワールの製造している銃という武器は強力だ。遠距離から身体を貫通することができるほどの鉄の塊を飛ばす。
警備員の中には司令を出す隊長のような人間も現れた。連携の取れていない集団ならまだしも、連携の取れる集団になるとすぐに包囲される可能性がある。
「先にあいつを潰すか……」
司令を出せる人間は何人もいる。だが、全員ができるわけではない。まずは隊長格を倒すことで時間を稼ぐ。
ブラッドが今いるのは広い倉庫だ。後ろには今まで倒してきた警備員が転がっている。前にはいくつかの入り口があり、上には倉庫の周りを一周するように通路もある。
「指示を出しているのはあいつか……」
警備員と連絡をとりながら、警備員を配置している人間を見つけた。それは倉庫の二階部分にある一周周れるスペースだ。
「やるしかないか」
ブラッドはその警備員がいる方向へと走り出す。近くにいる警備員がブラッドに向かって発砲する。
ブラッドはまっすぐ走って、その弾丸が当たるよりも早く前へと進む。
そして高くジャンプした。
通常の人間ならジャンプしても建物の2階までは届かない。だから、ブラッドは倉庫に設置された箱を足場にして登る。
ジグザグに登ることになるし、動きが読まれやすく撃たれる可能性が上がる。しかし、このまま逃げ回っていてもいつかはやられる。なら、戦力になっていそうな敵を減らしたほうがいい。
登っている最中にブラッドの肩を弾丸は掠めるが、この程度で済んだ。
ブラッドは登り切ると、右拳に力を込める。すると、右拳に黒いオーラが現れる。
指示を出していた警備員は逃げずにブラッドに銃口を向けるが、間に合わない!!
ブラッドの拳が銃を粉砕して、そのまま警備員の顔を殴る。そして警備員を壁の向こうまで殴り飛ばした。
殴られた警備員はその衝撃で飛んでいき、壁に大きな凹みを作りながらぶつかった。
しかし、
「まだ出てくるか」
ブラッドを捕らえようと警備員は次々と集まってくる。ブラッドの体力にも限界が近かった。