第159話 【BLACK EDGE 其の159 逃げろ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第159話
【BLACK EDGE 其の159 逃げろ】
赤崎はゆっくりと近づいてくる。
ブラッドはフェアを背負うとどこか出口がないか部屋を見渡す。しかし、この部屋に出口らしいものは見当たらない。
だが、入ってくる時に落ちた穴と、ロジョンが出て行った壁の扉があるはずだ。そのほかにも出入り口はあるかもしれない。
ブラッドが出口を探している姿を見て、赤崎の歩くスピードは少しずつ上がる。そして赤崎の間合いに入った。
さっきの攻撃から考えるにここまで近づくこともなく、赤崎の剣はブラッド達に届くだろう。だが、近づいてきたということはあれだけのリーチを出すためには何か条件があるということだ。
さっきの剣の時は振り終わる時に長くなった。振れば振るほど長くなるのかもしれない。
赤崎は射程距離に入ると剣を振って攻撃してくる。横に一直線に青い炎が二人を襲う。
ブラッドはフェアを背負ったまま高く飛び上がると、天井を殴り天井を破った。それにより赤崎の攻撃は避けることができた。
ブラッドが天井を突き破ると、そこには正方形の道が上に続いている。これはさっき二人が落ちて来た穴だ。
ブラッドは壁を蹴ると、少しずつ飛び上がり、左右で攻撃壁を蹴り飛ばして上へと登っていく。
かなりの脚力がないとできない技だが、ブラッドの身体能力に龍の力を上乗せしていることで、どうにか壁を登ることができた。
だが…………
「ブラッド、大丈夫!?」
ブラッドの辛そうな表情を見たフェアがそう言った。
一回壁を蹴っ飛ばしても少しずつしか上昇できない。それをかなりの距離登っていくのだ。ブラッドでも疲れてしまう。
それにフェアを乗せていることもあり、自分の体重にフェアの体重がプラスされている。
「ああ、こんなところで諦められるかよ……」
どうにか登り切ったブラッドは上の長い通路の場所まで戻れた。
「はぁはぁはぁ…………フェア、無事か?」
「私は大丈夫だけど……ブラッドは休んでく?」
息を荒くしているブラッドにフェアが聞く。しかし、ブラッドは首を振った。
「今座ったりしたら動けなくなる……それにあいつも追ってくるだろ……さっさと子供達を見つけて、とんずらしたほうがいい…………」
しかし、この広い施設だ。こんな広い場所から子供達を本当に探し出せるのだろうか。
そんな中、爆音と共にまた施設が揺れる。これはさっきの侵入者のせいだろう。
「…………悩んでる暇はないな……フェア、とりあえず進むぞ」
ブラッドとフェアは長い通路を走り始めた。