第155話 【BLACK EDGE 其の155 赤崎】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第155話
【BLACK EDGE 其の155 赤崎】
「よく来たな。君たち!!」
埃が舞う中、奥に人影が現れる。その声とシルエットは男。そして埃が地面に落ちて視界が晴れると、そこに現れたのは白衣を着た黒髪の男だった。
「……お前が赤崎博士か……」
赤崎は身体を動かして白衣を靡かせる。そして腕を組んで二人のことを見下ろした。
「そうだとも私が赤崎 圭一郎……。ようこそ、私のラボへ……ブラッド、そしてフェア」
フェアは立ち上がると、赤崎を睨みつける。
「子供達はどこなの!!」
それを聞いた赤崎はニヤリと口角が上がる。だが、答えることがない。
「答えて!!」
そう言って今にも飛びかかりそうなフェアを止めるようにブラッドが前に立つ。
「…………俺たちをここに連れて来た目的は何だ……」
ブラッドが聞くと、赤崎は二人に背を向ける。そして二人とは目を合わせずに喋り出した。
「私はある男を超えたいんだ…………。しかし、今となってはその夢は叶わない。……私はこちらの世界に来てしまったから……」
赤崎は歩き出す。ゆっくりと前進する。
部屋は狭く宿の部屋と同じ程度の空間だ。そんな空間の中、赤崎の前に広がっているのは、明るい光を放つ細く四角いもの。それはモニターだ。そしてそこには様々なものが映し出されている。ほとんどのものはブラッド達には理解できない。だが、一つだけわかるものが映し出されていた。
「……だが、この世界に来たことで私は強力な存在を見つけた……そう、それこそが…………」
赤崎は身体を回転させて二人の方を振り向く。
「君たち、龍だ!!」
そして赤崎は不敵に笑い出した。
ブラッドはフェアを守るように近づける。
「目的は龍の力か…………」
ブラッドの言葉に赤崎は答える。
「その通り、私は君たちを待っていた。そのためにグリモワールを出し抜いて、あの子供達を連れて来た」
「本当にあの子達はここにいるの!?」
フェアが心配そうに叫ぶと、ロジョンは身体は動かさず腕だけを動かして後ろのモニターを操作する。そして操作が終わると身体を退けて画面を見せた。
「ああ、いるとも……」
「っ!?」
そこに移されたのはベッドの上で寝させられている子供達の姿だ。
だが、誰一人起きておらず、寝返りをうったりはしているが、大きな動きはない。
「…………何をしたの……?」
フェアは赤崎を睨む。すると赤崎は楽しそうに答えた。
「少し実験に付き合ってもらっただけさ」