第146話 【BLACK EDGE 其の146 兄を探して】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第146話
【BLACK EDGE 其の146 兄を探して】
いつからだろう。平民だった俺が王族になったのは…………。
いつからだろう。俺が今こうしているのは…………。
「ブレイン様!!」
馬で移動中、後ろにいる部下が近づいてきた。
「どうした?」
「国王からの帰還命令です」
「…………そうか」
ブレインは部下が持ってきた手紙を読んだ後、馬を反転させる。
「これより王都ガルデニアに帰還する! 皆ついて来い!!」
部下達は敬礼すると、ブレインを先頭にして馬を走らせた。
俺は王族の血を引いているわけでもなんでもない。なのになぜ、王子になったのか……。
捨て子だった俺をある男がひろい育ててくれた。そこは小さな家で兄弟と共に育った。平和な日々だったことを覚えている。
しかし、ある時俺は妹と共に引き取られた。残る一人の兄弟を除いて…………。
そこからはよく分からない。気づいた時には王族となっていた。何度も何度も貴族を経由して養子となり、それを繰り返した。
引き取られてからは家に出ることはあまりできず、屋敷の中での生活が続いていたが、王族になってしばらく経ち、外に出ることがやっと許された。
それから治安を守るという名目で兵を連れて、王国中を旅することが許された。
外に出ることができるようになって、一番最初に向かったのは最初に住んでいた家とその近くの村だった。
だが、俺はそこについて衝撃を受けた。
その村は以前住んでいた面影はなく。家も何もかもなくなっていた。噂によれば盗賊に襲われたという話だったが本当はどうだったのか分からない。
盗賊に襲われただけでここまで村が悲惨になるものだろうか。元々村があったはずの場所は、大きなクレーターができており、地形自体が変わってしまっていた。
その足で住んでいたはずの、その家は火事で燃えたみたいで黒焦げになってしまっていた。
そこにもしかしたらもう一人の兄弟がいるかもしれない。そう思ったのだが…………。
兄は盗賊に襲われてしまったのか、それとも無事でどこかで暮らしているのか。
旅が許されてから、兵を連れて多くの場所を見て回った。だが、それらしい人物は全然見つからなかった。
結局のところ、今回の旅はこれで終わってしまいそうだ。王の命令には逆らえない。
今はこの国の王が俺の父親だ。そして王は俺を次の王にしようと考えているらしい。
反対する気はない。だが、なぜ俺なのだろうか。