第144話 【BLACK EDGE 其の144 新たな旅立ちに向けて】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第144話
【BLACK EDGE 其の144 新たな旅立ちに向けて】
子供達の居場所をクリスの能力により、王都の隣にある街カメリアの地下であると知ったフェア達は早速カメリアに向かうために、準備をしていた。
「クリスさん、ソリを貸してくれてありがとうございます」
フェアはクリスに礼を言う。
ブラッド達は雪崩に巻き込まれた時にソリを失った。そして他にも様々なものを無くしてしまったのである。
だが、今回はクリスが親切にソリや必要なものを提供してくれた。
「これもお礼だ。それに急ぐんだろ」
「はい!」
クリスの能力で分かった情報はもう一つあり、子供達もの元に怪しい連中が向かっているというものだった。彼らが何者なのかは分からないが、急いで向かった方がいいのは確かだろう。
「フェア、荷物は積み終わったぞ」
ソリに荷物を積んで準備をしていたブラッドが、フェアを呼ぶ。
「うん、それじゃあ、クリスさん、また!」
フェアは手を振ってブラッドの方へ向かう。ブラッドは犬にソリをつけるとソリに乗った。
フェアも乗ろうとするが向きのせいで足元が不安定で乗るのに苦戦していると、ブラッドが手を伸ばす。
「ほら」
ブラッドの手を取ったフェアはソリに乗り込んだ。
ブラッドはソリを動かす前に屋敷の入り口の方を見る。そこにはクリスとイエティが二人の旅立ちを見守っていた。
「また近くに来ることがあったら寄るぜ!」
ブラッドはそう言うとソリを動かした。クリスは手を振ることなく腕を組んで見守っている。イエティは大きな腕を振りながら見送ってくれた。
ここは雪山の奥。簡単に人が来れるような場所ではない。しかし、クリステルもイエティも人を嫌っているというわけではない。
どうしてこんなところに住んでいるのかは分からないが、近くに来た時は来ようと思う。
そうすれば二人も少しは寂しさから解放されるだろう。
そしてソリは進んで山を下っていく。今回はルートを変えることなく順調に進んでいくことができた。
そして屋敷が見えなくなった頃、フェアが心配そうにブラッドに聞いた。
「ねぇ、ブラッド…………」
「ん、なんだ?」
ブラッドは振り返ることなく答える。
「私、本当にみんなのことを救えるのかな?」
そしてフェアはそんなことを聞いてきた。それに対してブラッドは答える。
「ああ、救えるとも……いや、救うんだよ。今までも頑張ってきた。そしてこれからも頑張るんだろ」