第142話 【BLACK EDGE 其の142 術師を本へ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第142話
【BLACK EDGE 其の142 術師を本へ】
「あなたの力を貸してください。私の友達を……子供達の居場所を教えてください!! 私はあの子達を助けたいんです!! そのために私はここに来たんです!!」
フェアは頭を下げてお願いする。それを聞いたクリスは短い髪を手で触ると、
「そうね。あなたにはイエティの傷を治してもらったことだしね。良いでしょう、私の力を貸してあげる」
そう言ってクリステルが力を貸してくれることになった。
ブラッド、フェア、クリス、イエティの三人は屋敷の二階の部屋から隠し通路を使い、屋根裏部屋にやってきた。
そこは不思議な雰囲気の漂う部屋であり、窓は一つもなく、蝋燭で灯りが灯されている。部屋の中央にはテーブルがあり、紫色の布がテーブルに引かれている。そしてその上に水晶が置いてあった。
だが、他の部屋は死人が現れたことであれているというのに、この部屋は荒らされた形跡はなく。死人がやってきた様子はない。
「どうしてここは無事なんだ?」
不思議に思ったブラッドが聞くと、
「襲撃が来ると分かってすぐ、ここに結界を張らせにイエティに行かせたからな」
そういえば、死人が現れる前にクリスはイエティをどこかに向かわせていた。それがここだということか。
だが、結界とはなんなのか。それもクリスの魔術なのだろうか。だが、クリスはブラッドが質問する前に、部屋の奥に行き、みんなと向かい合うように座る。
「さてと、それであなたの知りたいのは子供達の行方だっけ?」
「はい! そうです!!」
フェアが元気よく返事すると、クリスはテーブルの下から注射器を取り出した。
そしてそれをフェアに投げる。フェアはそれを受け取ると首を傾げた。
「これは…………?」
「あなたの血を渡しなさい。それを術に使う」
それを聞いたブラッドは驚く。そしてクリスを怒った。
「おい、なぜ、クリスから血を抜く必要がある!! さっき持ってたみたいに、血は持ってないのか?」
するとクリスはテーブルの下から箱に綺麗に入れられた血の入った瓶を取り出した。
「えぇ、血ならいっぱいあるわよ」
「じゃあなぜ!!」
「私はね。その子の覚悟が見たいの、血は注射一本分、大き量ではない。そんな血を抜く覚悟もないから、私の力は使ってあげる気はない」
「イエティを治しただろ」
「それはそれよ」
ブラッドがクリスと話していると、フェアは注射を自分の腕に刺した。
「これくらい、あの子達のためなら!!」