第126話 【BLACK EDGE 其の126 水晶】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第126話
【BLACK EDGE 其の126 水晶】
「退屈…………だと?」
ブラッドが反応するとクリスは人差し指を立てる。
「そう、暇なの…………」
フェアは窓の外を見る。そこは何もない雪が続く草原だ。
確かにここは何なくて退屈なのかもしれない。
ブラッドは水晶を指す。
「その水晶が特別な力を持っているというのは分かった。だが、それが本当に未来なのか、どうなのか、それを判断する方法がないじゃないか」
そう、それがただの水晶ではないということは、光を放ってこの部屋が映された時点で分かった。しかし、この部屋が荒らされるというのが本当だと証明する方法がない。
するとクリスはテーブルに肘をついて手に顎を乗せた。
「そうね。今の未来も確定しているのもとは言えないし…………。ごめんなさいね。今のは忘れてもらっても良いわ」
フェアは立ち上がる。クリスに聞く。
「あなたは本当に私たちの敵じゃないんですか」
ここまで来たんだ。ここで情報の整理に躓いているわけにはいかない。そう思ったフェアは立ち上がってクリスに聞いたのだ。
やっとここまで辿り着いた。ならば、早く本題に入りたい。
「そうよ。あなた達と敵対する意思は。今はない」
それを聞いたフェアは机に手をついて身を乗り出す。
「じゃあ、今は味方ってことよね」
フェアの勢いに少し驚いたクリスは目を丸くしながら答える。
「え、ええ…………」
「クリスさんはアリエルさんと面識はありますか?」
それを聞いたクリスの顔は真剣な表情になり、一気に雰囲気が変わる。
「アリエル。あなた、今そう言ったわね?」
「はい! アリエルさんです」
クリスの姿勢を正す。
「私の力は完璧じゃない。…………可能性の一つを見るだけ。それは過去も未来も同じ。今ここにいるあなた達はあの女に会ったのね」
何があったのはアリエルの名前が出た途端。クリスの様子がおかしい。
アリエルと会っていると何か都合が悪いのだろうか。
クリスは頭を抱えた。
「そう、ならこの屋敷が襲撃される未来が見えてもおかしくない」
それを聞いた二人は驚く。そしてブラッドが聞く。
「襲撃ってどういうことだ?」
「彼女は私を狙ってる。いえ、正確には私の力、魔術を狙っている。彼女の新しい魔導書に加えるためにね」
ブラッドとフェアは状況が理解できず、その場で固まる。
アリエルがクリステルを狙ってる? どういうことなのか分からない。
そんな中、クリスは立ち上がった。