第124話 【BLACK EDGE 其の124 イエティの料理】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第124話
【BLACK EDGE 其の124 イエティの料理】
ブラッド達はクリスに案内されて屋敷の中へと入っていった。
「ブラッド…………大丈夫かな?」
フェアが隣で心配そうに聞く。ブラッドはフェアの方を向くと、
「…………まだどうとも言えないが、ついていくしかないな。まだ紙を渡せたわけじゃないし」
この屋敷に来たのはアリエルからこの屋敷に住む者にある紙を渡せと言われたからだ。
それがクリステルなのか、それともイエティなのか。まだ奥に誰かがいるのかも分からない。
とりあえずここはついていくしかない。
不安そうなフェアの頭をブラッドは撫でる。
「安心しろ。何があっても守ってやる」
それを聞いたフェアはブラッドにくっついた。
しかし、本当に広い屋敷だ。大きな部屋がいくつも並んでおり、玄関は吹き抜けで二階もあった。
こんな雪山の真ん中に、これだけ広い屋敷があるなんて驚きだ。
クリステルに連れられた二人が辿り着いたのは、一階にある客室だ。
部屋には高そうな家具がいくつも飾られており、真ん中にはテーブル、その隣にある椅子はふかふかだ。
クリスは椅子に座ると、向かい側にある席を手で指す。
「まぁ、座れ。紅茶でも飲みながら話そうじゃないか」
ブラッドとフェアは言われた通りに座る。しばらくしてからイエティはお盆を片手に三つの紅茶を運んできた。
イエティがバンダナを巻いてエプロンをしている姿に驚いたが、それ以上に驚いたのは…………。
「美味しい…………」
紅茶を一口飲んだ二人は思わず声に出してしまった。
それを聞いたクリスは嬉しそうに紅茶を飲む。
「そうだろ。イエティが淹れた紅茶は格別に美味いんだ」
お盆を持ったイエティが部屋の隅で立ちながら恥ずかしそうに頭を掻いている。
この紅茶をあのバカでかいイエティが淹れたとは…………。こんな美味しい紅茶は生まれて初めて飲んだ。
もう他の紅茶が飲めなくなってしまうぐらいの美味しさだ。
美味しくて紅茶を飲む手が止まらなくなっているブラッドとフェアを見て、クリスはイエティの方を向くと、
「おい、あれも持ってきてやれ」
そうやって指示をした。
するとイエティはお盆をもって部屋を出て行く。そしてしばらく経ってまた戻ってきた。
今度持ってきたのはクッキーだ。ブラッドとフェアはそれもいただくと、それもまた美味しい。
「美味い!!」
なぜ、こんなに美味しいんだ!! 美味しそうに食べる二人を見ながらクリスとイエティは満足そうに微笑んできた。