第123話 【BLACK EDGE 其の123 屋敷の少女】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第123話
【BLACK EDGE 其の123 屋敷の少女】
「よく来たな。龍の適応者…………。私はクリステル。クリスと呼んでくれても構わん」
そう言うとクリスは深く頭を下げた。
ブラッド達が驚く中、クリスはゆっくりと顔を上げる。その時のクリスの目を見たフェアは怯えるようにブラッドの後ろに隠れた。
ブラッドもフェアを庇う形で構える。
クリスがどういう人物なのかはわからない。だが、ブラッド達が龍の適応者だと言った。
なぜ、そのことを知っているのか。そして龍のことを知っているということは、グリモワールの関係者なのか。
警戒するブラッドだが、クリスは顔を上げたあと笑みを浮かべながら階段を降りてきた。
「そう警戒するな。私はお前達には興味はない。……ただ今日ここに訪ねてくることを知っていただけだ。だから出迎えにイエティを行かせたのだが……うまく行かなかったようだな」
クリスはそう言うと、イエティの方を見る。イエティは申し訳なさそうな顔をして、クリスに頭を下げた。
「まぁ、仕方がない。…………しかし」
クリスは歩いて扉のところまで来ると、ブラッドの前に立つ。
身長はブラッドの方が高い。ブラッドの方にクリスの頭があるくらいの身長差だ。
ブラッドは警戒しながらクリスを見下ろす。
その時だった。クリスが右手でブラッドの顔に向かい手を振ると引っ掻いて攻撃をしてきた。
「っ!?」
ブラッドは警戒していたこともあり、クリスの爪が頬に当たるだけで避けることができ、そのままフェアを抱えると素早く後ろに下がる。
雪で足場が悪いが、ブラッドはフェアを下ろすと戦闘体制を取った。
「やはりやる気か!?」
ブラッドの頬からは血が流れる。その血が白い雪に落ちて赤く染まる。
ブラッドは警戒していた。警戒していたのに攻撃を受けたのだ。それだけクリスの攻撃が早かったということ。もしも油断していたのなら首を刎ねられていてもおかしくない。
クリスの首にはブラッドの血がついている。クリスはそれを口に持っていくと、ベロを出して舐めた。
「これは私の家族を殴った分よ…………」
クリスはそう言って血を舐めたあと、扉を開き全開にする。
「さぁ、ようこそ、幻想館へ! あなた達を歓迎するわ!!」
クリスは両腕を広げる。
何が目的なのか、わからない。だが、ここで戦闘をする意思はないようだ。
屋敷に向かい入れて、何をするつもりなのか。
彼女の目的とは…………。