第121話 【BLACK EDGE 其の121 幻想館】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第121話
【BLACK EDGE 其の121 幻想館】
しばらく洞窟で雪から身を守り、そして時間が経つと吹雪は収まった。
さっきまでの雪がまるで嘘のように快晴だ。
「わーー!! 綺麗だよ!!」
辺りに日が差し込み、白い地面を照らす。洞窟から出たフェアは嬉しそうに走り回った。
「あまりはしゃぐなよ。危ないぞー」
ブラッドがそう言った時、すでにフェアの身体の半分は雪に積もっていた。
「助けて」
「おい!!」
ブラッドは雪に埋まったフェアを引っ張り上げる。
これからまた幻想館を目指すのだ。
ソリが雪崩で雪に埋まってしまったため、ここからは徒歩で向かうことになる。だが、もうすぐそこだ。
地図上では1時間もかからないうちに着く距離になる。しかし、この雪だ。そう簡単には進めない。
雪で不安定な足場を慎重に二人は進んでいく。そして2時間後、ついに辿り着いた。
「ここが……幻想館……」
雪山のど真ん中に聳え立つ木造の館。建物の大きさは王都の建物の数倍の大きさで、高さも広さも奥行きも全てが巨大である。
これだけの建物だというのに、屋根の上には雪は一つ乗っておらず、建物の隣に大きな雪山ができている。
これだけの館を管理している存在がいるということだ。
だが、不思議なことに窓は全て閉じられており、カーテンが閉められている。こんな大きな屋敷だというのにどの窓も使われている感じがしない。
「行くか……」
ブラッドはフェアと共に入り口に近づく。入り口は二枚の扉が左右に開くタイプであり、その大きさは普通のものよりもひと回り大きい。
ブラッド達が使うのなら一つで足りる大きさだ。
ロデー達、三匹の犬は外で座らせて、待たせることにした。三匹とも大人しく座って待っている。
ブラッドは大きな扉を叩いた。
静かな雪山で扉を叩く音が響く。
屋敷の中にもその音が響いていく。だが、誰も出てくる気配がない。
ブラッドはフェアと顔を合わせたあと、もう一度叩いた。
すると、屋敷の中から何かが歩いてくる音が聞こえ出した。だが、それは普通の音ではない。巨大な何かが音を立てながら歩いてきている。
それはゆっくりと扉の前まで近づくと、扉の鍵がゆっくりと開かれた。
かちゃりという音を聞いたブラッド達は、扉が開くのを待つ。
すると、扉はゆっくりと動き出し、そして薄暗い屋敷の中に光が差し込んだ。
そして中にいたのは、白い毛を全身に生やした巨大な猿だった。
「い、イエティ!!!!!!!」