第118話 【BLACK EDGE 其の118 ロデーとブラッド】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第118話
【BLACK EDGE 其の118 ロデーとブラッド】
「そこにいるのはホワイトウルフか?」
ブラッドが言うと返事するように鳴き声が聞こえた。
ということはさっき噛みつかれたのは、俺を助けるためだったのか。
ブラッドは足を動かすのをやめると、
「すまん、俺を引っ張ってくれ」
そう言った。
すると再び噛みつかれる。だが、今回は大人しく噛みつかせて、引っ張ってもらう。
ブラッドはどうにか引っ張り出せてもらえた。
左足は噛まれたことで血だらけだ。結構痛い。まぁ、助けてもらったわけだから文句はないのだが…………。
周りを見渡すと、そこは一面雪しかない。
引っ張り出してくれたホワイトウルフが一匹いるだけで、残り二匹の姿とフェアの姿は見当たらなかった。
「なぁ、他の連中を知ってるか?」
ブラッドが聞くと犬は首を振った。
「そうか……………」
ブラッドは立ち上がる。
「探しにいくか」
ブラッドに返事をするように犬は吠える。
一人と一匹は雪の中を歩き出した。
雪崩の中、ブラッドはフェアを上空に投げ飛ばした。これで雪崩からは抜け出せたと思うが、本当に無事かは分からない。
さっきよりは雪は弱いがそれでも視界が狭い状況だ。簡単には出会えないだろう。
ブラッドが少し不安になっていると、それを感じ取ったのか犬はブラッドの前に出る。
そしてブラッドの目を見た。
「どうした?」
ジーッと見つめてくる。しばらく見つめられたあと、再び歩き出した。
ブラッドはそれに着いていくように歩く。
「諦めるなってことか?」
すると小さな声で吠える。
「…………まさか、犬に元気付けられるとはな」
ブラッドは軽く笑う。そのあと、
「そういえば、お前達名前があったよな。……お前は誰なんだ」
それを聞かれた犬はちょっとしょげる。覚えられていないことがちょっとショックだったらしい。
「確か……ジャック? デューク? ロデー?」
ブラッドは当てずっぽうに名前を呼んでみる。するとロデーという名前に反応して鳴いた。
「ロデーなのか?」
ブラッドが確認で聞くと再び鳴く。
ブラッドを雪の中から助けてくれたのはロデーだったようだ。
ロデーといえば、ダレオさんと昔旅をした経験のあるホワイトウルフだ。
「すまないな。助かった」
ブラッドが礼を言うと嬉しそうに尻尾を振る。
ロデーとブラッドはフェア達を探すために雪の中を進んでいった。
「フェア、無事でいてくれ」