第116話 【BLACK EDGE 其の116 恐怖の雪】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第116話
【BLACK EDGE 其の116 恐怖の雪】
雪崩の影響でダレオから教えてもらった道が使えなかったブラッド達は、その道を少しズレたところを進み、目的地を目指すことにしていた。
「ブラッド? 大丈夫かな?」
「ああ、ダレオさんに教えてもらったルート通りにここまで来たんだ。あと少し、少しくらいなら問題ないだろう」
ブラッドはそう言うとソリを進めていく。
フェアもあと少しなら問題ないと思ったし、それはソリを動かしてくれている三匹の犬も同様だろう。
ほんの少しのルート変え、それくらいのことだ。そう思っていた。しかし、事態は悪化する。
「雪だ…………」
ルートを変えて進み始めた途端。雪が降り始めたのだ。
さっきまで快晴で雲一つなかったはずなのに、こんなに急に天気が変わることがあるとは。
ブラッド達は驚きながらもまだ小雪だからとそのまま進んでいた。
しかし、どんどん事態は悪化していく。
「ブラッド、待って!」
フェアに止められるとブラッドはソリの動きを止める。
「どうした?」
「この景色、見覚えがある気がする。同じところを通ってない?」
フェアが不安になって聞く。だが、それはブラッドもなんとなく感じていたことだ。
だが、ここで不安に負けてしまえば、さらに事態が悪化する。それにブラッドがフェアに弱気なところを見せるわけにはいかない。
「気のせいだよ。ここは似たような景色しかないしな。大丈夫だ。もうすぐ着く」
ブラッドはフェアは心配させないようにそう言い聞かせる。そしてそれは自分に言い聞かせるものでもある。
雪崩の影響で外れたコースを進み始めたのは、自分の責任であると感じている。
このまま進めば着くはずだ。しかし、辿り着けない場合のことを考えてしまう。
だが、ここで戻れば、さらに危険に晒される可能性もある。行ったり来たりを繰り返すうちに方向感覚を失ってしまうかもしれない。
ならば、このまま突き進むしかない。
だが、どんどん雪は強くなり視界も悪くなる。最終的には先が全然見えなくなってしまったのだ。
そして視界が悪い中、フェアが何かを聞いた。
「何か音がする……」
「どうした?」
「何かが近づいてきてる」
そしてブラッドにもその音が聞こえる。何か大きなものが雪を滑っている。だが、その大きさは山のようにでかい。
「これは…………」
視界が悪くて見えないが、ブラッドは理解した。
「フェア!! 捕まれ!! ……雪崩がくるぞ!!」