第114話 【BLACK EDGE 其の114 思い出】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第114話
【BLACK EDGE 其の114 思い出】
ダレオは昔、この雪山の主に活動する探検家だった。まだ未開の地が多い雪山であるこの地方を、自ら歩いて開拓していた。
そんな中、ダレオは建物にたどり着いた。そこは噂でしか聞いたことがなかった幻想館という館だ。
白い雪の山の頂上に、木造の大きな建物がある。
これだけ大きな建物だというのに誰も辿り着いたことがないというのが不思議なくらい大きく、そして存在感のある建物だった。
だが、ここに着いたダレオには、この館にたどり着く難しさが分かっていた。
通常のルートでは辿り着くことのできない場所だ。その理由は森も吹雪が方向感覚を狂わせるからだ。
今回ダレオがこの館にたどり着けたのは、奇跡にも近い。特定のルートを辿って辿り着けたのだ。
存在する位置が分かってしまえば、ダレオなら他のルートからの行き方もわかるが、簡単な場所ではないだろう。
ダレオはそんな館にどんな人物が住んでいるのか、興味が湧いてきた。
こんな森の中で大きな屋敷を作り暮らしているのだ。他の村に行くことも、誰かを呼ぶことも難しいだろう。
なぜ、そんな場所で生活しているのか、興味を持った。
ダレオは道案内として雇っていたロデーという犬と共にその館に近づいた。
だが、その時だった。ロデーが後ろに向かって吠え始めた。
ダレオが後ろを向くと、そこには熊よりも大きな身体を持つ白い毛皮の猛獣がいた。
「い、イエティ!」
ダレオは剣を取る。
この館と同じく噂だけの存在。都市伝説のような存在だったイエティだ。
イエティはゆっくりとダレオに近づいてくる。
襲われると思ったダレオは剣でイエティを攻撃した。しかし、ダレオの剣はイエティに掴まれてしまう。
そして剣を奪われてしまった。
イエティは剣を奪っただけでなく剣を見つめると、それを片手で潰して小さな球にしてしまう。
イエティが片手で握りつぶした剣を拾い、ダレオは怯える。そして腰を抜かして動けなくなってしまう。
そんな中、イエティはゆっくりと歩き出す。
ダレオは動けずにいると、ロデーがイエティに向かって吠え始めた。
ロデーが吠えたことでイエティの意識がロデーに行く。
それによりダレオはどうにか逃げ出すことができた。
だが、逃げ出したは良いが、方向を間違えてしまったのか、雪山で迷ってしまったのだ。
吹雪の中、一人で迷っているとそこにロデーが現れた。同じくイエティから逃げてきたようだ。