第108話 【BLACK EDGE 其の108 賞金稼ぎとその娘】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第108話
【BLACK EDGE 其の108 賞金稼ぎとその娘】
雪山を移動中、ブラッドとフェアが出会ったのは、ブラッドが賞金稼ぎ時代に同業者だったキース、そしてその娘のスカイだった。
「じゃあ、俺たちはそろそろ行くから……」
雪でひっくり返ったはソリを元に戻したブラッドは先を急ごうとする。しかし、
「いや、待て!!」
ソリに乗ったブラッドとフェアの進行方向にキースが立ち塞がった。
「俺と勝負しろ!!」
「まだ言うか!!」
まさか娘に止められたのにまだ言ってくるとは……。
「パパ、どうしたの? ブラッドさん達を見つけてから変だよ」
いつもと違うキースの様子にスカイも驚いている。
「俺はこいつと決着をつけないといけないんだ!!」
普段は冷静なキースだが、ブラッドとヒューグと出会うと、猫にまたたびを見せた時みたいに興奮してしまう。
「ブラッドさんと一体何があったの?」
スカイはキースに聞く。
「ブラッド……キースさんと何があったの?」
フェアも気になって聞く。
二人は説明を始めた。
あれは王都ガルデニアでの出来事だ。
賞金稼ぎであったブラッドとヒューグがギルドに行くと、そこでは騒ぎが起きていた。
それは大物賞金首ジガンデルが王都に潜伏しているという噂があったからだ。
だが、ジガンデルは多くの賞金首を返り討ちにしてきた凶悪犯であり、騎士ですら対抗できていなかった。
そんな相手を捕まえようとする連中は珍しい。
「ヒューグ、どうする?」
「当たり前だろ。やるに決まってる」
ヒューグとブラッドはその賞金首を捕らえることにした。だが、狙う賞金稼ぎは他にもいる。
「……お前達もジガンデルを捕らえるつもりなのか?」
そこに現れたのはキースだった。キースは当時王都を中心に活動していた。
そして賞金首の間では、キース、ブラッド、ヒューグの三人には遭遇してはならないという噂になるほどの、実力者であった。
「そのつもりだが、キース。お前もやるのか? お前みたいなへなちょこには無理だ」
ヒューグが挑発する。それに対してキースも反撃。
「お前の方が無理だろ。まず潜伏先なんて見つけられないだろ?」
こうやって喧嘩を始めて、なんやかんやで誰が最初に捕らえられるかの勝負になった。そしてブラッドも巻き込まれた。
だが、事態は悪化する。誰かが討伐すれば、それで決着がついたのだが……。
潜伏先を見つけたのはキース。ダメージを与えたのはヒューグ。そしてブラッドが最後の一撃で捕まえてしまった。
それからキースはまだこの勝負を根に持っているのであった。