第104話 【BLACK EDGE 其の104 犬とブラッド】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第104話
【BLACK EDGE 其の104 犬とブラッド】
ブラッドはソリを購入し、二匹の犬をレンタルした。
この雪山にしか生息しない特殊な犬。彼らの名をホワイトウルフ。狼と犬の中間的な動物であり、力は狼のように強く頭も良い、そして人間に懐き言うことを聞く。
それがホワイトウルフだ。
しかし、問題は顔が怖いという点だ。狼の目つきで睨みつけてくるため、慣れていない人間は恐れてしまう。
「ほら、これがホワイトウルフだ。怖いだろ?」
ブラッドはフェアにレンタルしてきたホワイトウルフを見せびらかす。
しかし、フェアは臆することなく、ホワイトウルフを撫で始めた。
ホワイトウルフもフェアにすぐに懐いて、フェアにベトベトだ。
「まじか〜」
ブラッドは遠くからそんな光景を見ている。そんなブラッドを見てフェアが、
「ほら、ブラッドも! 怖くないから!」
とこっちに来るように指示した。ホワイトウルフもブラッドに怖がられているのが分かっているのか、ブラッドが近づくとあまり激しい動きはしないようにしている。
ブラッドはビビりながらホワイトウルフに近づいた。そしてゆっくりと頭を撫でようとする。
そーっと、そーっと…………。しかし、そんなゆっくりなブラッドに一匹のホワイトウルフがイラついたのか。
わざと自分から頭を近づけてくる。
ホワイトウルフは親切心でやったことだったのだが、ブラッドはびびってしまい手を引っ込めてしまった。
「あーあー」
フェアはブラッドに撫でてもらえなかったホワイトウルフを撫でてあげる。
しょげるホワイトウルフ。そんな様子を見てブラッドは、
「…………すまん」
と小さな声で謝った。
そしてついに出発の時、宿で一泊して翌朝の出発であった。
ブラッドが出発の準備をしていると、フェアとホワイトウルフ達はさらに仲良くなっていた。ブラッドのそばで走り回って遊んでいる。
「あ! ねぇ、ブラッド!!」
準備している最中、フェアが話しかけてきた。
「ん? なんだ?」
「この子達の名前知ってる?」
「いや、知らないな」
「私知ってるよ! 朝聞いてきたの!!」
フェアは嬉しそうに言った。朝早くに出かけていたと思ったら、犬を借りた店まで行って名前を聞いてきていたらしい。
「右から順番に、ジャック、ロデー、デューク」
フェアに名前を呼ばれると、その順番に返事をするように吠えた。
「…………そうなのか……」
しかし、ブラッドには分からないことがあった。
誰がどれなのか、見分けがつかないのである。