第100話 【BLACK EDGE 其の100 ブルーバードの目的】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第100話
【BLACK EDGE 其の100 ブルーバードの目的】
「王子?」
ヒートはそれを聞いても何もピンとこない。
王都ガルデニア。そこには王城がありそこに王様が住んでいる。その王様は一代で王国を作り上げた王様である。
そしてそんな王様の跡取り。次代王様として有名なのが王子ブレイドである。
今は騎士団と共に王国中を回りながら治安の維持を行なっているという話を聞いたことがある。
王子の妹、リナは旅には同行せず、城で帰りを待っているらしい。
「なぜ、そこで王子が出てくるんだ?」
うちの組織と王子はなんの関係もない。いや、ヒート達が知らないだけで上層部は何か繋がりがあるのだろうか。だとしてもヒートには分からない。
「さぁな。俺の任務は王子ブレイドの捕獲だ。……ま、お前達が邪魔をしてくるなんて思ってなかったけどな」
ブルーバードの目的はグリモワールの武器製造場ではなかった。となるとなぜ、アルム様はこの男の捕獲を命じたのだろうか。
ブルーバードの目的を知っているのか? それとも知らないのか?
ヒートが迷っていた時だった。
フェザントの足元が突然沼のようになる。そして足首まで地面に埋まってしまった。いや、地面ではない影だ。
シャドーは姿を現すことはなく声がだけが聞こえる。
「なぜ王子なのか、俺たちの組織と関係もわからない。だが、一つだけ俺たちがやるべきことがある」
シャドーの能力でフェザントは足が影に埋まってしまい、身動きが取れない。
「任務は絶対だ」
フェザントは腰まで影に浸かってしまう。
「なんだこれ……」
部屋全体は薄暗い。そのためシャドーの能力が影限定なのは、フェザントからは分からないらしい。
「地面を移動してるのか……。俺も引き摺り込むつもりか」
フェザントは足を動かして足を掴んでいるシャドーを蹴りつける。だが、シャドーは踏ん張ってそれを耐える。
シャドーの能力は触れていないと、相手にも効果はない。そのためシャドーが手を離してしまえば、フェザントは再び自由になる。
「ヒート、今だ!! 」
シャドーは影の中からヒートに叫ぶ。何度も蹴られて傷だらけになりながらもフェザントの動きを止め続ける。
「シャドー、よくやった!!」
ヒートはフェザントに攻撃を仕掛ける。腕しか使えないフェザントよりもヒートの方が有利だ。ヒートの攻撃を捌ききれず、フェザントの顔面にヒートの蹴りが入る。
そしてフェザントが怯んだところに、ヒートが右手を伸ばした。