第99話 【BLACK EDGE 其の99 フェザントの術】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第99話
【BLACK EDGE 其の99 フェザントの術】
ヒートはシャドーの能力で影を移動すると、フェザントの背後に現れた。そして左手でフェザントを掴もうと手を伸ばす。
あと少し、あともう少しのところだった。
しかし、ヒートの左手はフェザントに届くことはなかった。
フェザントに届く目前でヒートの視界からフェザントが消えたのだ。
そして気がつくとヒートの右側に立っていた。
ヒートは急いで方向転換してフェザントに攻撃をしようとするが、フェザントはヒートの服を掴むと、影の中から引っ張り出して、そのまま投げ飛ばした。
ヒートは地面を転がり、さっきまでシャドーが倒れていたところで止まる。
フェザントは頭を掻きながら周りを見渡す。
「今のはさっきの奴の能力か? 瞬間移動? いや、違うな…………」
今のだけではシャドーの能力を理解することはできないようだ。だが、これでシャドーの能力も警戒されることになる。
もう奇襲は効果がないだろう。
しかし、ヒートは不思議に思う。
シャドーの時も今回もフェザントの攻撃には殺意がない。
敵を殺そうとしてこないのだ。
敵組織の人間だということは気づいているだろう。だが、なぜ、手加減をしているのか。
フェザントは周りを見渡して、さっきから姿を消しているシャドーを探しているようだ。
「姿も見えない。隠れているのか…………」
フェザントの力ならヒートを投げ飛ばすのではなく地面に叩きつけて追撃を加えたほうがいい。
シャドーを倒した時もだ。ヒートが攻撃してくるまで待つ必要はない。その前にシャドーにトドメを刺すことができたはずだ。
だが、どちらにも必要以上に攻撃を仕掛けてくることはなかった。
今もそうだ。シャドーが姿を現さないのに、ヒートやアルファを攻撃する様子はない。能力が分からないのなら対処しやすい相手を人質にとってしまえば、有利に進めるのにそんなことはしない。
ヒートは影の世界にいるシャドーにも聞こえるように大きな声で言う。
「お前はなぜ、王都に潜伏している?」
ヒートはフェザントに敵意がないように感じた。
今までの行動も攻撃されたから攻撃を仕掛けしたという感じだ。
アルム様からの命令では王都に潜伏中のブルーバードの幹部を捕らえろという命令しか来ていない。
つまりはブルーバードの目的は伝えられていないのだ。
そしてフェザントと戦闘し、ヒートはブルーバードの目的はなんなのか、そこに疑問を持った。
すると、フェザントは答える。
「この国王子のブレイドの捜索だ」