第98話 【BLACK EDGE 其の98 協力】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第98話
【BLACK EDGE 其の98 協力】
ヒートはシャドーの倒れているところまで行き、フェザントにバレないように喋る。
「シャドー、意識はあるか?」
シャドーは身体を動かさず、声だけで答えた。
「ああ、…………だが、どうする。まだ奴の能力も分かっていない。……何かではあるのか?」
ヒート達はまだフェザントの能力がどんな能力なのか見れていない。だが、それはあちらも同じだ。
「まだ私たちの能力もバレてはいない。………………チャンスは一度だけだが、乗るか?」
「どんな作戦だ……」
「作戦は単純。お前の能力で私を運べ。私の左手は警戒されてるが、奇襲ならどうにかできるはずだ」
シャドーは考える。確かにヒートの左手は既に警戒されてしまった。このまま戦闘してもフェザントを捕まえることはできないだろう。
だが、シャドーの能力を使えば、影から影へと移動ができる。まだシャドーの能力はバレていないため、奇襲を仕掛けることはできる。
奇襲で攻撃するなら、シャドーが短剣で斬りつけるよりもヒートの左手でフェザントに攻撃した方が有効だ。
「分かった。タイミングは……?」
「私が奴に攻撃を仕掛ける。避けた瞬間に移動させろ」
「了解……」
シャドーは倒れたまま作戦があることがバレないようにする。ヒートは左手を前に突き出しながらフェザントへと走り出した。
「一旦退いたのにまだやるのか? 懲りないなぁ」
フェザントはヒートが走ってくると構える。武器は持ってない。フェザントは素手だ。
構えたのはヒートの左手を警戒してだろう。ヒートの武術はフェザントには効かない。だが、武術を織り交ぜての攻撃はフェザントでも少し厄介だった。
そしてヒートの左手の力が分からない以上。警戒を怠るわけにはいかない。もしも左手に触れてしまえば、その時点で戦闘不能にされてしまう可能性もある。
この行動からも一発逆転を狙ってきている。そうフェザントからは見える。そしてその切り札が左手なのだ。
ヒートは左手を突き出し攻撃する。だが、フェザントはそれを後ろに退がって躱した。だが、それは分かっていた。
ヒートの足共にシャドーの手が現れる。
この建物は屋内だ。そのため影しかない。この空間内ならシャドーはいつどこでも移動ができる。
ヒートが走り出してすぐ、フェザントの目がヒートに注目した瞬間に、シャドーはすでに影の中に潜んでいた。
そしてこの時を狙っていた。
シャドーはヒートの足に手を振れる。するとヒートの身体は影の中に沈んでいった。
何が起きたのか分からないフェザント。その背後からヒートは現れた。
「っ!?」
フフェザントの背後の影からヒートは姿を現すとフェザントを左手で掴もうとした。