005 【痛みに悶えど前を向く!】
【前話の続き】
疲れて横になろうとした時、横の茂みからガサゴソと音がしたので音がした方を見ると、緑色の体色の兎が出てきた。
「………へ?」
「キュ!」
僕が呆けている間に兎が僕に向かって飛び跳ねて来た!
草むらから出てきた兎は飛び跳ねて、僕の肩にぶつかっていった!
「いたぁ!」
そんな悲鳴と共にぶつけられた衝撃によって、草原の中を肩の痛み、顔に草による傷、口の中に土が入るという三重苦を受けながらゴロゴロと転げ回った。
「うぐぅ。痛い。口の中じょりじょりする。
何が起きたの?なんか兎が目に入っ、ってそうだよ!兎がぶつかってきたんだ!あの兎ど………」
何されたから分からないまま、上半身を起こした後頭の中を整理し、急いで兎を探した瞬間。
「キュ!」
またあの兎の声がした方向、僕の背後にバッて振り返るとすぐ目の前に兎が迫って来て………!
(どがっ!)
「いたいー!」
2度目の兎の飛び跳ねる攻撃は胸へと当たり、薄い胸も相まってか鈍い音を周囲に響かせ、その攻撃によって起こした上半身を地面に叩きつけた。
「ぐっ、痛い!痛い!痛い!!
痛いけど!痛いけれど!痛いけども!僕が負けるわけには、死ぬわけにはいかないんだよ!」
草むらの中、強い意志を持つ少女はがいた。
肩と胸に痛みを感じながらも、顔にいくつかの切り傷をつけながらも、土が衣服や肌を汚し、口の中に土を含みながらも死ぬことに抗っていた。
僕は頭の中で痛い、痛いと騒ぐ痛みをなんとかギリギリ堪えて兎を探すと簡単に見つけられ真っ正面にいたが、すでに僕に向かって走り出していた。
ダッダッっと土を踏む足音、ドクドク煩い心臓の音、ジクジクと痛む傷、恐怖でガタガタと震える体。
それらをまるっきり無視し、無視出来ない分は死ねないんだと頭の中で叫ぶ声で無理やり打ち消し、兎が飛び跳ねるのを待った。
そして、後ろ足を力強く踏み込んで兎が飛び跳ねた瞬間………!
「キュ!」
(ばさっ!)
僕は横の草むらに飛び込んで兎の攻撃を避けるとすぐに、兎がいるであろう場所に向かって走った!
立ち止まって方向転換してる兎を見つけた途端に、まるで四足歩行の獣ののように飛びかかった。
「とりゃあー!」
「キュ!?」
体の前面で地面をズザーっと滑りながら両腕を伸ばして、驚ろきながら僕を見ている兎を両手でガシっと捕まえた!
「キュ!キュ!キュ!」
「こらっ!暴れんな!」
鳴き声を出して抵抗する兎を無視しながら、両手が使えないので少し苦労しながら正座すると、兎を掴んだまま腕を大きく上に振りかぶって、地面に叩きつけた!
「ギューー!!」
何かを考える余裕もなく、僕はただ無心で、無我夢中で兎を何度も何度も地面に叩きつけた。兎の悲鳴を草原に響かせながら………。
ーーーーーーーーーー
僕は腕が疲れて兎が持ち上がらなくなり、兎の体力ゲージを見て全損しているのを確認するとようやく一息ついた。
兎を手放し、腕から力を抜いて、呼吸を整えた。
「はぁ、はぁ、はぁ。
あーー、生きてる!死んでない!死にかけた!兎さん強すぎだよ!本当に死ぬかと思ったー!
あー、腕に力が入んない。もう無理、横になりたい。ゴロゴロしたい。
けど、出来ない!!また、襲われるかもしれないから!今この瞬間にも襲われるかもしれないから!
って、そうだよ!襲われちゃうよ!兎さんに早く『剥ぎ取りナイフ』刺さないと!
(ごそごそ)
(ぷすっ)
このキラキラは綺麗だよねー。
綺麗だなぁ………。
そういえば、僕の残りのHPってどのくらいなんだろ?
んーと、残り132か。結構HP余裕あったんだ。精神的な余裕は全然無かったけどね。精神的な余裕は無かったけどね!
んー、どうしようかな?帰ろうかな。疲れたし。
………あれ?僕の『初心者の短剣』はどうしたんだっけ?えっと、確か『ミニスライム』倒して、精神的なダメージが入って、休むためにゴロゴロしようとして、その時兎に攻撃されたんだよね?
………。
僕の短剣どこっいった!?唯一の武器なのにー!僕の短剣どこー!」
草むらを掻き分けてあちこち探すこと約5分後。
うわーん。まだ見つからないよ〜。どこいったんだ僕の相棒ー!君しか武器ないのにー!どこいったんだよ〜。
………ん?今向こうの草むらがキラって光った?光ったよね!そこにいるんだね!今すぐ行くから!
えっと、確かここら辺で………。
………!!あったー!おかえりー!僕の相棒ー!いやー、よかった。無くすかと思ったよ。あぶねー、あぶねー。
よし、短剣も見つけたことだし帰ろうかな。あ、でも、全然クエスト終わってない。『レモン』とかまだ見てすらいない。ギルドの冊子では『レモン』は森に生えてるみたいだけど。草原でさえこんなに大変なのに、森はもっと大変だよね?
んー、どうしよう。
………うん。最初にしたように走るか!でも、最初にしたのと違って『グレスラビット』と『ミニスライム』は無視して、近くに『グレスウルフ』がいた場合わざと分かりやすいように走りながら近づいて、『グレスウルフ』が飛びかかった瞬間に『スライディングスマッシュ』を決めてクエストを完了させる!
クエストも終わらせて、経験値も得られて、戦闘訓練も出来る。なんていいこと尽くめなんだ!少し、いやかなり怖い『グレスラビット』と遭遇する可能性あるけど、まっすぐ街に帰ってもここら辺で色々やってもどちらにしても、『グレスラビット』に出会わない可能性は0じゃない!
だったらここら辺で鍛えた方を僕は選ぶね!だってそっちの方がなんとなくかっこいいし、早く強くなれるしね!
てな訳で行ってみよう!
「では、しゅっぱーつ!!」
ーーーーーーーーーーーー
それからしばらく狩りをして、して、し続けた。『スライディングスマッシュ』での傷が浅くて『グレスウルフ』からの攻撃を受けるという危険な目に会ったけど、最初の『グレスウルフ』も合わせてクエストの6倍の30匹も狩っちゃったんだ!凄いでしょー。
そして今現在、草原に設置してある森近くの非戦闘エリアに到着しましたー!
ちなみに非戦闘エリアもヘルプに書いてありました!
「やっと休憩だよー!疲れた〜。けど沢山狩れた!思った以上に有効だった!一撃で倒せるから楽だしね!まぁ、グロいのに目を瞑ればだけど。そのグロさも『設定』から弄れるんだけどね!
逆にいえば『スライディングスマッシュ』がなかったら苦しい戦いになってたんだろうなー。だってどうやって倒せばいいか分かんないんだもん。近接武器しかないっていうのも関係してるんだろうけど、まぁ、パーティ組んでないからだよね。
もしパーティ組んでたら、タンクが『グレスウルフ』の飛びかかりを受け止めてできた隙に僕が攻撃するとか、僕が『グレスウルフ』を牽制してる間に遠距離武器で攻撃してもらうとか、いろいろ出来そうだもんね。
パーティ組まないと大変な敵を簡単に倒せる方法を思いついた僕って実は天才なのでは?
………。
なんてねー。他にも思いついてる人いるだろうしこんなんで簡単に天才になれたら誰も苦労しないよね。
さて、お待ちかねの『ステータス』見ようか!どのくらいレベル上がったかな?
「『ステータス』」
名前:クロ
Lv:5
種族:獣人族・猫
HP:240/240 +40
MP:120/120 +20
STR:25 (+1)
VIT:15 (+15)
AGI:75 《+5》
DEX:15 《+3》
INT:5
MND:5
LUC:15
ステータスポイント:20
SP:0
【固有スキル】
『獣化』ーLv1
【スキル】
『短剣術・初級』ーLv5 +2
『採取』ーLv3
『AGI強化・小』ーLv5 +2
『DEX強化・小』ーLv3 +2
『調合』ーLv1
『』『』『』『』『』
【控えスキル】
【装備】
武器:初心者の短剣(ATK1)
頭:なし
胴:初心者の服(DEF5)
腕:なし
腰:初心者のズボン(DEF5)
足:初心者の靴(DEF5)
アクセサリー:・なし
:・なし
:・なし
おー、レベル5まで上がってるー。凄いのか凄くないのよく分からないや。
さて、ステータスポイントも振りますか。もちろん振り方は決まってるけどね!
名前:クロ
Lv:5
種族:獣人族・猫
HP:240/240
MP:120/120
STR:25 (+1)
VIT:15 (+15)
AGI:95 +20《+5》
DEX:15 《+3》
INT:5
MND:5
LUC:15
ステータスポイント:0 ー20
SP:0
【固有スキル】
『獣化』ーLv1
【スキル】
『短剣術・初級』ーLv5 +2
『採取』ーLv3
『AGI強化・小』ーLv5 +2
『DEX強化・小』ーLv3 +2
『調合』ーLv1
『』『』『』『』『』
【控えスキル】
【装備】
武器:初心者の短剣(ATK1)
頭:なし
胴:初心者の服(DEF5)
腕:なし
腰:初心者のズボン(DEF5)
足:初心者の靴(DEF5)
アクセサリー:・なし
:・なし
:・なし
おー!スキル込みだけどAGIが既に3桁に突入だーー!やったー!この調子でどんどん早くなるぞー!
そういえば、さっき『短剣術・初級』についての通知がきてたような。一応確認してみるか。
………おー!『短剣術・初級』の『アーツ』を覚えたー!へぇー、レベル5で覚えるんだ。じゃあ、次はレベル10で覚えるのかな?
それにしても、この『アーツ』って強いのかな?
『短剣術・初級』アーツ
《ペナイント》
短剣で攻撃する
対象を確率で出血状態にする
MP:15
CT:30秒
まず、出血状態って何?どゆこと?
んーーー?スキル発動しないと分からないよね?斬りつけないといけないんだけど。
でもなぁ〜。もう既にレベル5だからなぁ。これ以上上がるとデスペナルティ発生するしなぁ。
うん、後回しにしよっか。
もう帰ってもいいけど、ここまできたからには『レモン』も採って全てのクエスト終わらせよう!ふっはっはっはー!必ずやり切ってみせるぞー!
という訳で、森に入って『薬草』と『レモン』をばんばん採りに行こうー!
ーーーーーーーーーー
てくてく歩いて到着した森の感想は、木が生い茂ってて視界が悪いなー、光も遮られてるし。でも風で木が揺れる音良いなー。なんか心安らぐー。って感じ。うん、普通の森っぽい?でも木の間から漏れる光が綺麗だなって、うわぁー!
「………ふべ⁉︎いたたた、根っ子に転んじゃったみたい。気をつけないと。
お!あったあったー、『薬草』見っけ!ちょうど目の前にあった。よし、この調子で採りまくるぞー!走れ、走れー!進め、進めー!」
僕は森の中を駆け回り『薬草』、『レモン』、『木の実』、『木の枝』、『石ころ』、『キノコ』、『毒草』、『木苺』を見つけ次第全て残らず採り、冊子で見た『フォレストウルフ』や『ゴブリン』からはずこそこそっと逃げ続けた。
そして今、多数のフォレストウルフに追いかけ回されているー!!
「もう来ないで良いからー!AGI僕の方が高いっぽいのに、狼さんの方が走るの速いよー!木上手に躱さなくて良いから!
きゃ!危ない!危ないからー!襲わないでー!森の外どこー!?」
もう既に10分以上鬼ごっこを続けてるよ!もちろん鬼さんは『フォレストウルフ』達で、逃げ役は僕一人だけどね!
無理!無理だからー!フォレストウルフの攻撃が何度も当たりそうになってるからー!
息切れそうだし、誰か助けてー!
ま、前に見えるあれって、まさか狼さん⁉︎
「うそ!前からも来たー⁉︎逃げ道ないんだよ⁉︎」
「「「「グロロロオォォー!」」」」
「来ないでーーーー!!!」
前方のフォレストウルフの突っ込みが、僕のお腹を強打し、後ろのフォレストウルフが僕の全身を噛みつき、引っ掻き、残り僅かだった体力ゲージを一瞬で消し去った。
そして視界が黒に染まった。
ーーーーーーーーー
【リスポーンします】
【Lv5以下よりデスペナルティは発生しません】
「んんーーーーーーーー!」
あまりの痛みに叫びそうになって、俯きながら慌てて口を手で塞いだ。
いたーーーーーーーーーーーい!!!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
痛い!痛い!痛い!…………………………
ーーーーーーーーー
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………。」
痛かった!とても痛かった!一瞬で終わったのに痛かった!
『グレスラビット』よりも重みのある『フォレストウルフ』の突進が、胃酸は出ないはずなのに出たんじゃないかと錯覚する程の威力があったんだよ!絶対アニメや漫画とかで聞く「かふっ!」って声を出してたと思うね!間違いないね!
体中への噛み付きも僕の体を喰い千切られる勢いで噛み付かれて!服もTーシャツと短パンだから服の上からじゃなくて肌に直接噛み付かれて、なんかこう、血がプシュって出てたはずだし!
引っ掻きも思っきし肉が裂けられて痛かったし!これも噛み付きと同じく素肌に直接傷をつけやがったんだぜ!酷い目にあったよ!
あんな痛い攻撃をこんなか弱い女の子にするなんて!めっちゃ痛かったんだからね!それに…………
ーーーーーーーーーーー
あー、やっと落ち着いてきた。
あれはまずい、ショック死するレベルだよ。やるとしても少しずつ、少しずつ痛みに慣らさないといけないのに、最初にあんなの受けたら死んじゃうよ!
一応覚悟してたけどやっぱ痛すぎるよ!殺す気なの!そうだよ!殺されたよ!死んじゃったよ!僕じゃ無かったら心折れてるよ!?でも、僕の心は折れなかったよ!残念だったな運営よ!出直して来るがよい!そして、我に敵わないことを再認識するが良い!わっはっはっはっはーー!
ーーーーーーーーーー
………………うん、ちょっと痛みで狂ってた気がする。
それにしても、やっぱり森は、無謀だったか。せめてもっとレベルを上げてからだよなぁ。
うん、もうしばらく外に行かない!かなりというか文字通り死ぬほど痛かったから外に行きたくない。引きこもってやる!街の中に引きこもってやる!引きこもってやるんだからー!いいもん、沢山採取したからお金は大丈夫だもんね!
はぁ、休もう。疲れた。もう帰る。眠りたい。眠ってくるんだよー!おやすみー!
「『Float Up』」
なんか自分が考えてた戦闘描写と違う。
なんでこんなにボロボロなんだ主人公!
改稿前はもっと楽勝だっただろぉ!
くっ、誰がこんな酷いことを………!
いったい誰がやったと言うんだ………!
全く全然これっぽっちも分からねぇ!
キリっとした顔で真面目な話をすると。
改稿前のやつを全部投稿してから、改稿した方がいいのかな?
それとも改稿してから投稿した方がいいのかな?
どっちの方がいいんだろ?
でもなぁ、改稿前と後では全然話が違ってるんだよなぁ。
くっ、どこかの誰かが改稿なんてするからだ!
てな訳で、試しに1話分だけ投稿してからその話を改稿することにしました!
まぁ、結構話ずれてるから見て後悔するかもだけど。
そうゆう訳で、よろしく!
ボソ)人外系の小説3話分だけ投稿しとこっと。
【追伸】
しばらく忙しくなるので投稿できないかと思います!
具体的には4、5月まで。
なので、見に来てくださった方申し訳ございません!
本当にごめんなさい!
もしこの作品を覚えていたら、再開した時にでも見に来て下さい。