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55.今はまだ

- 今はまだ -


月が昇る夜の中を

手持ち花火の袋を抱えて

中庭ではしゃぐ娘を見つめる


妻は水の入ったバケツを持って

縁側に置かれている外履きのスリッパを履き

中庭で待つ娘の元へと向かう


縁側に置かれた娘の食べかけのスイカを

居間のテーブルの上に置き

私も妻たちの元へと向かう


夏の生暖かい風が吹き

風鈴の音と蚊取り線香の匂いが

懐かしい記憶を思い出させる


遠くでは祭囃子の音や

楽しそうに会話をする声が聞こえ

娘は祭りのある方向へと顔を向けていた


「お父さん、明日もお祭りあるかな」


娘の嬉しそうに言う姿を見て

「そうだね。確か明日もあったかな」と答え

娘のほうへと向かう


今はまだ幼いから

長い時間はお祭りに行けないが

いつか一緒に行ける日が来ることを待つ


「お父さん、花火しよ」


幼い手で花火を渡す娘に

私は微笑みながら花火を受け取り

袋から取り出した


娘に花火を一本だけ渡すと、

嬉しそうにはしゃぎながら

妻の元へ向かう


今はまだ、幼い娘のために

私は、たくさんの思い出を与えたいため

妻と娘と一緒に花火をする

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