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42.貴方の手を
【貴方の手を】
『出会いは、偶然ではなく必然さ』
大学の教室の中で、窓の空を見ながら
どこか儚げそうな笑顔を向けて
いつものように、私に教えてくれた
気が付けば眠っていたらしく
目を擦りながら、顔を上げて
私は周りを見渡す
静かな個室で、病院のベットに横になり
一定のリズムを鳴らす機械の音だけが
貴方が生きている事を、私に教えてくれる
あの日、貴方が急に倒れる姿を見て
駆け寄った時に触れてしまった
口から流れる紅い液体
大切な友達である貴方が
徐々に冷たくなるのを触れた手で感じ取り
私は取り乱してしまった
あの日から目覚める事のない君に
私はいつものように手を触れて
君の寝顔を見つめながら言う
「早く起きて、いつものように私に教えて」
貴方の手を握りながら
私は今日も貴方が目覚めるのを
この場所で待ち続ける