41/71
40.雨音
- 雨音 -
庭にある小さな池に、気持ちよく泳ぐメダカ
小さい頃に植え、大きく育ったリンゴの木
妹たちが種を撒いた、綺麗な青紫色の花を咲かす紫陽花
五月も終わり、もうすぐ六月になり
梅雨が来たのか、今日も雨が降り
雨音を聴きながら、縁側で緑茶を飲む
いつもなら、この時期には読書をしてるが
今のご時世が原因か、読みたい本も読み終えてしまい
何もする事が無く、ボーと庭を見つめている
でも、庭の樹々や小さな池
そして、庭にある岩に落ちて弾ける雨音は
いつ聞いても飽き来ない
今思えば、私の父もここに来ては
日本酒を飲みながら、酒のつまみを食べ
雨音を聴きながら、いつも口ずさむ歌を歌う
「あぁ、確か――あの歌って」
そう思い出しながら、父が口ずさんだ歌を
記憶から思い出しながら、雨音でリズムを取りながら
ゆっくりとしたリズムで歌う