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34.世界の涙
- 世界の涙 -
小さな一滴の雫が湖面に落ち
鳥の鳴き声も聞こえない、静まり返る空間に
雫が湖面にぶつかる音が響く
雫は波紋になり、水面を伝い
水面に浮かぶ葉を揺らしながら
岸へと向かって波紋が伝わっていく
ジッとその光景を観ながら
私はノートと鉛筆を持って
砂浜に腰を下ろしている
一滴の雫が生む光景に
見惚れながら、ジッと見つめ
ノートに文字を書いて行く
頭の中に浮かぶ物語りに
何故か心が熱くなり
頭の中にある世界を綴っていく
まるで、世界が溢した涙が
新たな世界を生み出すかのように
私の頭の中に、物語りが生み出されていく
一通り書き終えた後、私は立ち上がる
物語りは今もなを紡がれており
世界は徐々に広がって行く
私は湖面を後にする
今もなを、雫は湖面に落ち
新たな波紋を産み、広がって行く
世界は常に回り続ける
そして、世界は涙を流し
新たな世界を作り出す
世界の涙は今もなを
我々に物語りを紡げと
零れ落ちる