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29.竜胆の花よ
【竜胆の花よ】
リュックを背負いながら
山頂へと続くこの道を
紅葉の椛を見ながら歩く
10月中旬だからか
多くの観光客がこの山を登る中
人通りのない林道を歩く
でも、この林道は誰も知らない
彼女から教えてもらった
二人だけの秘密の道
道の両端に咲く
綺麗な竜胆の花を見ながら
約束の場所へと歩く
椛の雨に身をゆだね
目の前に広がる
色鮮やかな花々
首に下げたカメラを手に持ち
広場に咲く花々を撮影しながら
病室で待つ君との約束を思い出す
『もう一度あの場所で、あの花が見たいな』
君の好きなあの花は
僕ら以外に知られる事無く
今もなを、この場所に咲いている
竜胆の花よ
秋の訪れとともに咲く花よ
この広場の隅に咲く花よ
儚くも病と闘う彼女の為に
竜胆の花言葉にある様に
彼女が病に打ち勝つように
祈りを込めて
彼女がくれたこのカメラで
写真を撮る




