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11.向日葵畑
お盆休みに故郷へ帰る途中に
運転する車内の窓から観える
一面の向日葵畑
子どもの頃に
あの向日葵畑を冒険した
夏の日々を思い出す
少年時代の私は
あの向日葵畑の中を
麦わら帽子を被って探検したっけ
そして、祖母がいつも私に
塩おむすびと麦茶を用意して
私が帰って来る度に、嬉しそうに笑っていた
あれから二十年
祖母は亡くなり
今は父が祖母の家に住んでいる
向日葵畑を観る度に
私は、いつもあの頃の
祖母の笑顔を思い出す
「あずちゃん、ご飯だよ」
向日葵畑を過ぎ、祖母の家に近づいて
祖母が私を呼ぶ光景が脳裏を過り
ついクスっと微笑んでしまう
「あぁ、今帰るよ。婆ちゃん」
そう呟きながら
祖母の家へ向かって
車を走らす