漫才 漫才はいつも、なんでやねんで終わる
元気よく駆けだしてくる黒いTシャツ姿のAとトボトボと歩いてくる白いワイシャツ姿のB
A:「はいどうも~みなさん宜しくお願いします~」
A:笑顔で客席を見渡す
B:トボトボとした足取りでAの横に立ち、虚ろな表情で客席を見渡す
A:Bの挙動の異様さに気が付きチラチラとBを見ながら、漫才が始まっている為に客席に向かって愛想笑いを続ける
A:小声で「おい・・どないした・・きっかけはお前やろ!」
B:Aをちらりと見るが、口をパカっと開けてそのまままた虚ろな目で観客席を見渡す
A:「いや~wwあれ? 相方どないしたんやろ?ww 楽屋で何か変な物でも食ったんやろか?」
A:ハハハ・・と乾いた笑いで焦りだす
B:舌を出して奇声を上げながら頭をブンブン振り回す
A:「うわぁ! おい! どないしてん!!」
A:頭を振り回し続けるBの肩を両手で抑えて「漫才やってんやぞ! しゃんとせいや!」
B:両手を振り回し、Aを振りほどいて睨み付ける
B:「俺を誰だと思っている・・」
A:「いや・・・相方やん・・って言うか、今漫才やってんやぞ! ホギャーとか言うてる場合か!」
B:「俺は、俺は相方ではないぃ! この劇場でスベった芸人の怨念の集合体ぃぃ・・」
A:「芸人ならちゃんと漫才成立させぇや!」 「ねぇ皆さん」愛想笑いを客席に振りまき「怨念なんてどこにおんねんってねぇ、ハハハハ・・」
B:「スベッた・・・またその怨念が我が身に・・」
A:「スベったとかエエねん! 早よ漫才始めな・・コンビニ店員や! いらっしゃいませを早よ言え!」
B:「・・・・いぃぃらっしゃいまぁぁせぇぇぇ・・・」
A:戸惑いながら、Bの後ろの上の方を指さし「すんません、あの160番のタバコもらえる?」
B:振り向いて「ん何にもないぃぃぃ・・・っ!!!」
A:「いや! コンビニのカウンターでお前の後ろにタバコの棚があるって設定や! ってこんなん客席の前で説明するとかありえんわ!」
B:後ろを振り向きざましゃがみこんで膝下あたりの高さから何かを取る素振りをみせる
A:A覗き込む様にBを見ながら「いや、俺は上の方を指したんやけど・・」
B:立ち上がると二回転して何か持っている様に片手をAの前に突き出し、Aが受け取ろうとした瞬間「やっぱり、ん何にもなぁぁいぃぃっ!」
A:「なんやねん! 取った素振りとか出すしぐさとかいらんやんか!」
B:「温めますかぁぁ?」
A:「何にもないのに何を温めんねん! って言うかタバコ温めるとかあるかぁ!」
B:「何も温めませんかぁぁ?」
A:「コンビニやからって、何でもかんでも温めんでえぇねん! ちゅうか、そこはもうエエから次の展開に・」
B:Aが喋ろうとした矢先、急にYシャツの前を掴んでボタンを引きちぎり叫ぶ「ハバァァァァァ!」
A:「うわぁ! 今度は何やぁ!! お前何を急に裸に!」
B:ハバァァと叫びながら、今度はベルトに手をかけ一気にズボンを下ろす パンツ一枚の姿になり叫び続けるB
A:「アホぉ! 裸になりゃウケるってもんでもないんやぞ!」
AはBのパンツ一枚を手で何とか隠そうとするが上手くいかない
仕方ないと意を決したAはTシャツを脱いでBの下半身を隠そうとする
A:「ハッ!」
見ると、Aは上半身裸の上に女物のブラジャーを着けている
Aは隠そうとして手を胸にあてるが、Bの下半身を隠そうとしていたTシャツは下に落ちる
B:驚いた様な表情を見せ「ブラ・・」
A:「いや、違うねん、これは・・あの・・Tシャツ着たら何かいっしょに着ちゃったみたいな・・」
Aが言い終わる寸前、Aのズボンの紐が切れて落ちる
そこには女物のパンティを着けたA
客席の前で、奇声を上げるパンツ一枚の男と女物ブラジャーとパンティをはいた男
A:笑顔が凍り付く
B:「なんでやねん!」
A:「きっかけと締めは合ってるよ・・」
本題に入る前のマクラまで台本に書く必要はないと思ってる次第