探偵物語
「あの前の外車のあと、尾いてってください。」
「ああ?」
運転手が怪しそうに振り返った。
「知り合いの車ですよ。」
「ほんとや?」
言いながらも、車は出してくれた。
「ああ、あれですよ。定員オーバーで、あぶれちゃったんですよ。」
なんだ、というような感じで運転手は無関心になった。
俺は車には詳しくないからベンツだかBMだかわかんないが、どうして外車乗りまわす奴が高校生から十万せびったりすんだ? なんで仲間連れてこなかったんだ。ナメられてるからか? それはあるかもしんないが、それだけじゃないだろう。案外そういうとこに相手の弱みがあるかもしれない。こういうときは相手の弱みを掴んどくに限る。タイマンはったり、ハッタリかますのはそれからだ。
ヤンキーの車は、俺の寮がある友泉から小笹、平尾と東に向かってって、その間にまっ暗になった。そして長住の住宅地に入ってって、道路の端に付けて止まった。タクシーはその二十メートル前ぐらいで停めてもらった。怪しまれたが、よく考えたら学生服のまんまだった。そりゃ確かに怪しい。ヤンキーは車から降りると、住宅街をテクテク歩き出した。ちゃんと普通に歩いてた。ヤクザだってのもハッタリなんじゃないかと思いながら尾いていったらそれはほんとだった。角を曲がったとこに三階くらいのビルがあって、そこの一階に入っていった。そこが暴力団事務所だってことはいきなり見ただけでわかるが、警官がダメ押しに二、三人前に立ってて、ヤンキーも入るときに身体検査を受けていた。いまヤクザが抗争やってることを、ここで思い出した。普通の家なら庭とかに忍び込むぐらいやるんだが、張り付け警戒中のヤーさん家となると、場所が分かっただけでよしとするしかなさそうだった。しかし、これじゃ何のきめ手もない。リミットは一週間しかない。それまでにはなんとかしないとまずいだろうし、ぜったいあのヤンキー、なんか変なとこがある。どうしても、事務所に近付きたかったけどしょうがなかった。帰りはバスで帰った。
参考)https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20151013-00050405/




