この小説を執筆するにあたって
「いいのかな。」
「別に。俺にとってはな。だから他人事だからさ。あとそれからな、すごいな。お前の文章は。」
「なにが。」
「主述は一致してない。改行するべきとこはしてない。句読点の打ち方はメチャクチャ、描写がいーかげんでよくわかんないところはあるし。」
「どこ?」
「えーとな、二人目を殺すとこな。ナイフを取り出した引き出しがどこの引き出しだかわからない。これじゃタンスから出したように読めるぞ。」
「だってタンスだもん。」
「えっ、タンスに食器だの包丁だの入れてんの?」
「俺の部屋家具が少ないから服と食器、同じタンスに入れてんだ。」
「書いとけよそういうことは。」
「書いてなかった?」
「ねえよ。」
「じゃあ、つまんなかったのか。」
「いや、ところが不思議と読めちゃうんだよな。スゲーヘタだけど、これがお前の味かもな。」
“やな奴だな。”
うーん同感だな、それだけは。あ、ダメだ。こんなことダラダラ書いてたら、また吉本にケチつけられる。とにかくこのときの成果というか、結果は、
・吉本がこのレポートの製作の協力者になった。(編集みたいな役)
・持ち味をイカすってことで、俺の書いた文章には手を加えない。
・今まで書いた分は吉本が誤字をなおしたり、ワープロに打ったりして整理する。
・組長殺しの準備に学校に忍び込んだりするのも、吉本が協力する。あ、この辺は書いとこう。
「じゃあ、もうひと口のらねえか?」
「執行猶予になるぐらいの範囲内ならな。」
吉本は俺の持ってきた拳銃をいじくっていた。
「こんどの殺しには拳銃使いたくないんだよ。たぶん音がしちゃマズいとこでや殺ると思うからさ。」
「どうするんだ?」
「毒か刃物を使うと思うんだよ。それでさ、学校の化学室に忍び込んで盗ってくるの、手伝ってくんねえか。」
「でも劇薬なんかは忍び込んでも、鍵の掛かったトコに入ってんじゃねえか?」
「その辺はいろいろ考えてるからさ、どう、やらない?」
「いいぜ。で、いつ?」
「今日、夜。」
「え、ああ、いいけど。どこで待ち合わせる?」
「そうだな。小松商店の前ってのは?」
「あの辺は警察が見回りやってて、よく補導とかされるらしいぜ、夜は。じゃあ、いいや。一時ごろ俺ん家の前に来い。なんとか抜け出すから。」
なんか、だんだんコイツのペースで進んでいってるような気がしてきた。清春はよっぽどコイツが嫌いなのかスネてた。しかし、俺もそとから見ると何考えてんのかわからないように見えると思うけど、吉本も相当だと思う。だって誘ったのは俺だけど、吉本がすんなりOKした理由がどうも完全に理解できない。それなら三村にしたってそうだ。どうせ本人なりの思惑やら企みがあるんだろうけど、俺みたいに思いつきで行動してるってこともあるだろうし、そういうのがグチャグチャにからまって、他人というのは決して侮れないものだなあと思った。
“頭大丈夫か?お前。”




