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必殺学生人  作者: 神保知己夫
レポート用紙 1冊目
11/42

2人目(仲村徹也)

 俺はすぐに立ち上がってタンスの引き出しをあさった。そして食器を入れてる引き出しの中から果物ナイフを掴むと部屋を飛び出した。殺すと決めたら後は早かったが、この間なにも言葉にできることは考えていない。イメージが頭の中を飛びまくったが、なんとかしなくちゃといった感じのもので、なぜ殺さなきゃなんないのかといった部分が抜け落ちていた。そういう意味じゃ、この時点まではまだ神の駒だったともいえる。

 長住までチャリをぶっとばして、ヤクザ事務所に着くまでにパトカーが何台もいた。事務所の周りは案の定、警官がびっしりだった。報復させないためだとすりゃあ、警察はほんとに抗争とみてるのかもしれない。清春が乗ってた車は事務所から離れたいつものところにあった。俺は車の近くの電話ボックスの前にチャリを停めて電話を掛けてるフリをしながら見張った。清春がこの車の運転手なら、中村がこの車の本当の持ち主だ。その運転手がいなくなったんだから、この車を次に運転しようとするやつが中村だ。あとで考えりゃ必ずそうとは限らないと思うんだけど、このときはそう思いこんでいた。見張っている間、どうやって殺すかをイメージトレーニングしてた。正直いってこのとき、楽しかった。そしたらすぐヤクザがこっちの方に歩いてきた。受話器を持ちながら見てると前を通り過ぎて車のとこに行き、キーでドアを開けた。俺はベルトの後ろにナイフを鞘ごと差し込んで車まで走った。車に近づいたときエンジンを掛ける音がしたんであせってドアを開けた。

「中村さん。」

「なんや?」

 したっぱのフリして声を掛けたら返事をしたので左手で中村の髪を後ろに引っ張りながらナイフを抜いて首の左側に刃を押しつけた。ベルトから鞘がポロッと落ちた。中村は腕でガードしようとしたが、こっちの手のほうが早かったので、こっちの腕を上から押さえ付けるみたいになった。

「動くな。」

 中村はゆっくりと腕を降ろそうとした。俺は車の中につっこんだ手を引き抜いた。左から右に引き裂くときにスジみたいなものがブチブチッと切れて、途中でゴリッとしたものに当って切り口はへの字みたいになった。切る寸前中村はなにかいいかけたが、よく聞き取れなかった。そして、引き抜いた動作に続けてドアを閉めた。閉める瞬間、中村がひゅっという音をたてた。閉めたあと車の中でバシャッという音がした。しかし、中がどうなっているのかはスモークウィンドーなんでよくわからなかった。待ってるときのイメージトレーニングは役に立った。

 通りに誰もいないのを確かめた。考えてみたら、抗争中だから住民は外に出歩かないんだ。どっかの窓から見られたかもしれないが、今は私服だしヤクザだと思うだろう。鞘を拾ってナイフを差し込むとき、刃と小指のあたりに血が付いてるのに気付いた。刃は鞘に入れたら問題ないけど、手はコートで拭いた。黒いコートなんで全然目立たなかった。興奮はしていたが、落ち着いてゆっくり自転車をこぐようにした。


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