繰り返しⅥ
私はウルフェンスと、別れ、一人山奥で泣いていた。
「そうだよな…何度繰り返したかわからないような内容言っても伝わらねぇよな…今回は…死ぬか…」
そう呟いて、村の方へ歩みを進めた。
涙はそのまま頬をつたい、流れていった。
村へつくと、村長に話しかけられた。
「あぁ、あなたは…勇者様ですか…!?」
いつも通り驚いた表情をして、私に話しかける。
「あぁ、そうだよ。私が勇者だ。お前がこの村の長だな…?一つ聞きたいことがある。家に案内してもらおうか」
繰り返したことをなるべく悟られないように、反応を伺いながら、話した。
とりあえずの無茶振りだ。
「こ、こちらです。勇者様…」
そう言っていつもの家に辿り着いた。
「では、き、聞きたい事とは、何でしょうか勇者様…?」
そう言って、引き出しに手を掛ける。
「まずはそうだな…手を上げてくれ。じゃないとなんだか怖くて話も出来ない」
そう言うと村長は一瞬酷い目で私を見て、再度怯えた顔になり、手をガクガクさせながら上げた。
「では、聞きたいこととは…「気」の操り方だ」
「「気」ですか…?あの5歳児でも扱おうと思えば扱える…?」
やはり気とはすべてのNPCに合ったんだ。
そう確信しながら私はゆっくりうなずく。
「そうですね…説明するためにペンをとっても…?」
「いいぞ」
そう言ってペンと紙をとり、スラスラと絵を描いていく。
その絵は人の形を宿していた。
心臓の部分には黒く丸を書き、そこから矢印で体中に張り巡らせていく動きをしていた。
「このように、気は心臓付近に貯まるものです。それを血管がつたい、好きな位置で放出させる。そのようなイメージです」
「実際は血管は関係ない…?」
なんだか、取り敢えずそこまで重要じゃないが…という内容を質問してみた。
村長は頷く。
「そして、気を操るには、高い精神力が必要です。誰かに押し付けられた、誰かの「せい」等ではなく、誰かの「ため」に使う。という心持ちが最低限必要です。あなたは何故、気を扱いたいんですか…?」
あの、ウルフォースと同じ質問をしてきた。
答えは簡単。次は、ウルフェンス達と仲を深くするため。
というより、守るため。だ。
しかし、名前を出したら殺されるだろう。
そう考え、一つの答えを出した。
「この世界のため…」
「はは。そんなご冗談を言わなくていいですよ。もちろん、その目を見れば、他に理由があるのなんて一瞬でわかりますよ」
そう言われてしまった。村長は「まぁいい」というような態度で、話を続けた。
「では、肝心の使い方ですが、実際のところ、感覚を掴んでもらうしかないです。最初は、ほんのちょっとの身体能力の上昇です。イメージは、身体の力をすべて外に放出するイメージです」
そう言われたが、私には全然理解できなかった。
頭に「?」を浮かべながら、なんとなくやる。
「恥ずかしがるな!なんとなくでやるな!」
そう村長は大声ではっきりと言った。
私は感覚を掴むため、「ドギャシャァァァァァ」という効果音がつくようなイメージで「ゴゴゴゴゴゴゴ…」とやった。
「ふむ。できないですな…」
数分後、無駄に体力を消費した私に、村長が言った。
「では、②です。気の塊を受けてみれば、運が良ければ、感覚が掴めますよ」
そう言われ、私の胸に手を押し付ける。
そして!村長の手がついているところからいきなり、電気のようなものが走る感覚に陥った。
私の身体は一瞬痺れ、意識もぶっ飛んだような感覚に陥った。
そしてすぐに第二波。
先程と同様の苦しみを味わい、第三波、第四波と、続けて十回ほど繰り返した。
そこで私は、前に倒れ込み、手をついた。
そこで村長は言った。
「では、使ってみてください!」
そう少し疲れたが、興奮しているような声でいう。
私は渋々、しっかりとやってみた。
身体のそこから何かが湧き出る感覚に陥った。
そして、世界が遅くなったかのような感覚にもなり、嘔吐してしまった。
嘔吐してから数十秒後に、気持ち悪いこの世界にも少し慣れ、尊重に話しかけた。
「なぁ、成功か…?」
村長は頷く。
「このまま慣れていったら何度でも使うことができるであろう。では訓練だ。何不思議そうな顔をしている…?」
訓練だ。そう言いながら村長は引き出しの何かを押して、再び剣を取り出す。
そして私に向かって走り、距離を詰めて、刀を抜き取った。
私はそれは目には見えなかった。
私の首は真っ二つに吹っ飛び、私の嘔吐物の上にドシャッと落ちた。
そして再び繰り返す。
「うん。あれは無理。じゃーぁっと、気で落下に耐えれるようにするかぁ…」
そう言ってさっきの感覚を思い出し、再び吐き気、そして、気持ち悪い世界に変わる。
そして、慣れぬうちに、地面との衝突。
私は血を吐き、前に倒れた。
しかし、死んではいないようで、なんとか動ける状態へと変わった。
「こんにちは!お姉ちゃん!」
地面に突っ伏してる私に少女。ウルフェンスが話しかける。
「なんで足をガクガクさせて立ち上がるの…?」
そうやって、立ち上がろうとしている私に問う。
「そんなにボロボロなのに…」
ウルフェンスの目は笑っていた。
しかし冷酷な目をしている。
「何度だって立ち上がってやるさ…」
私は口を開き、建前、本音、どちらも含めて話を始める。
「何度苦しみを受けても立ち上がらなきゃいけない。それが勇者だから。そして、君の期待に答えなくちゃならない…だから、立ち上がるんだ」
期待してたかなんて、確実性はない。
期待を持っていてほしい。唯それだけで、唯それだけの気持ちで、君の持っていてほしい期待に答えるんだ。
そんな本音を持ちながら、死にそうな私は話を続ける。
「君に助けてもらったから…次は、私が助けて、返す番…だよ…」
そう言って私の意識が遠のいた。
「ねぇ…」そう呼びかける声が何度か響く。
私は耳を閉じたくなった。
何故かって…?
それは、私は、絶対に死ぬと思っていたのだ。
今回も変わらず。
そして、ウルフェンスにあんな言葉を言ってカッコつけて、死んだような反応をしたのに生きていたって、恥ずかしすぎて、死ねるよ!
続いて、声が響く。
「おい。勇者」
ウルフォースの声だ。
私は目を覚まし、立ち上がる。
「おはよう!」そうウルフェンスが手を上げ、言う。
「貴様…私の娘に何をした…?」
強いて言うならナンパ。くらいしかないが言うわけにも行かない。
だから私は知らないを突き通す。
「何もしていない!」
少し迫力のある言い方で言い返し、ウルフォースは、全身の毛を逆立てた。
ウルフォースは、まるで狼男のような姿をしていた。
「そうか…なぜこんな奴を気に入ったんだ…私の娘は…」
再び前に似たようなことをつぶやく。
人は変わらないんだな。そう思った。
「なぁ、ウルフォ」
「じゃ、村周ってくるよ。元気でね。またね」
そう、今回は笑顔で手を振り、洞窟から出ていく。
「なんだ…?話そうとしていたものは…」
多少威圧されているが、私は挫けず、震えた右手を膝下で抑えながら言う。
「私を、強くしてくれ!」
ウルフォースは笑い始める。高笑いをして、言葉を返す。
「落下で死にかけた奴が…?強くなる…!?ハハハハッ!面白いなぁ!なら、レベルと筋肉をつけろぉ!それだけda」
「お前らを守らせてくれ。今回は無理でも、次こそは…」
そう、ウルフォースの言葉を遮り、言うと、ウルフォースは冷たい声で答えた。
「俺達は、お前みたいな奴に守ってもらわなくちゃ生きていけないほど貧弱ではない…誰が相手でも、負けなi」
「それが、この村の村人全員が相手でも…?君は強くても、ウルフェンスは君ほど強くないんだ…だから、せめて死なせたくna」
「うるさい」
ビリッとまるで電撃が走ったかのような感覚に陥るほど、迫力のある言い方をされた。
私の背筋は凍りついた。
「すまない…お前の信念は分かった…」
「じゃぁ!」
「しかし…私達を侮っている人間に…更に勇者に…力を与えて何になる?もしこちらが殺されてしまったら…?」
「そんな…殺すなんて…するわけna」
「モンスターってのはな…勇者に殺されてこそ、意味があるんだよ。そんな、勇者という宿敵。更に信用もできないやつに、教えてやる義理はあるか…?無いよな?」
言われてしまった。
勇者はモンスターを殺して当たり前なこの世界で、モンスター達は勇者を恨んだり、信用しなかったり、様々な者がいる。それが分かった。
今回はそれだけでもいい収穫だ。
「ロード…するのか…?」
そう少し怯えた声で聞く。
俺は笑顔で答える。
「その特権はもう私には無いよ」
そう言って剣を抜き取り、首を切り落とした。
とっりっまー!
朝から夕方にかけて今回は書いてみたよ!
ちょ、最近見た作品に左右されまくっちゃうなぁ〜
いにゃぁ〜もうね〜
あっ、そうだ、名前ってどうやって決めてる?とか聞かれたから、答えると、名前は、そのキャラのモチーフに沿って、テキトーに付けてます。
内容でわかる通り、ウルフェンス、ウルフォースは、ウルフ関係で、「ウルフ」という文字から、想像しやすい名前にしてます。
最初にゴブリンで書いてたら辛かったww
「ゴブ太」「ゴブ子」とかしか思い浮かばないしなwww
主人公は「アルフォート」!
みんな、この名前を聞いてもう予想がついたよね。
うんうん。たまにテキトーな単語で名前つける人がいるけど、そんなイメージだよ!
ってことで今回のあとがきはもうすぐおしまい!
この話を読んだら、是非感想お願いします!
「つまらない」とか、「面白い」とか、どんなのでもいいです!
指摘してくれても嬉しいです!
では、また!