繰り返しⅡ
井戸の底へ辿り着き、ゆっくりと足を下ろす。
チャプ。と足元で音がなるため、井戸の底には水が浅く張っているのだろう。
俺が歩くと同時に水を軽く踏む。水が跳ねる音が井戸に響く。
井戸はかなり広いようで、腕を伸ばし、剣を振っても壁らしきものに一切当たらないようになっていた。
「あーあー!」
そう叫ぶと洞窟特有の反響が「あーあー!」と返ってくる。
俺はなぜだか感じる寒気を堪えながら、井戸の奥に叫び続けた。
なぜだかダメージ表示が現れる。
一歩歩くたびにシャリ。という音が響き渡る。
水と凍ってしまう寒さに変わってしまったようだ。
剣を振り回しながらあるき続け、身体を温め続ける。
時折のダメージ表示。
そして響く俺以外の足音。
意識は遠のきながらも、凍える身体は動き続けた。
俺は叫び続けた。
「あ…あっ…」
声にもならない叫びを発しながら床に手をつく。
パリ。シャリ。という音がすると共に無限のダメージ表示。
とっさに手を抜こうとするも、手も凍りつき、井戸の底と一体化しているようだった。
これで最後だと思い、周囲を見渡すと、ステータスの表示と共に、冷気が近づいているのが分かった。
それを理解すると同時に何かの叫び声。
瞬間。目の前にあるのは青い空。
「は、はは…もううんざりだ進めねぇよ…」
Q.村長達に勇者だと言うのは?
A.いいかもしれないがほぼ確実に大怪我を食らうだろうから長い間動けない。
Q.ならば、自分でサバイバル生活を送るのは?
A.うーん。あり…かもな。
そんな馬鹿げたQ&Aをしながら俺は海へと突っ込んだ。
海へ入ると、いつの間にか砂浜に打ち上げられていた。
多分、海の奥は作られていない。もしくは、船か何かで行かないと戻される仕様になっているのだろう。
今回は砂浜から遠い場所に降りていたため、前回のも実はその仕様が作用した。ということだと思う。
砂浜を歩き、村へと向かう。
そこでサバイバル生活を送りつつ、村につき、楽しく暮らすのだ。
「そこで色んな女の子達と…グェヘヘ…」
そんな笑って独り言をしていると、定番のモンスターとの遭遇。「グルルルル」と唸り声を聞きながら俺は柄に手を掛け、周りに気を払う。
「警戒モード。ON!」
とか叫びながら音のする方向へ剣を向ける。
数秒後、ウルフではない者による背中に響く猛烈な痛み。
「は?何だおまっ…!?ふざっ…」
後ろへ振り返ると耳の長く、キレイな顔立ちをしたいわゆるエルフと呼ばれる者が俺の血が滴るナイフを手に持ち、口には笑みを浮かべていた。
そして俺の中に響く鈍い音。
腕が千切れ、意識が遠のく。
そして繰り返すあの空。
「はあああああああ!?エルフもいるとか聞いてねぇよおおおお!?ウルフとエルフと同時に戦うとか無理やわぁ!知能あるんやろ!?」
謎の関西弁になり、俺は大きな石で作られた石像に剣を刺し、勢いを殺しながら降下していく。
「これが安全か…?でも、村に降りると殺されたしなぁ…勇者だと言い張ってみるか…」
そう呟きながら村につくこと一分。
「勇者様…ですか?」
「あぁ。私は勇者だよ」
そう傷一つつかなかった身体をした少女は答えた。
私は何時でも反抗できるように柄に手を掛けながら私に話しかけた少女へ向けて笑顔を作る。
この少女は私を一度殺した7歳の少女であった。
だから余計警戒していたのだ。
「なんでお姉ちゃんそんなに警戒してるの?私が怖い?」
そうキラキラさせた目を私に向け、周りのものにはその不思議な怖さが伝わらないように、笑顔を作っている。
私は緊張で指が震える。
殺される恐怖。
それを何度も私は味わってきた。
あの痛み。あの苦しみ。あの冷たさ。あの熱さ。
すべてを思い出し、吐きそうになりながら、少女へ笑顔を向ける。
少女はすべてを受け止めてくれるような朗らかな笑顔でいる。
またそこが不気味だ。
そして私は少女が後ろに何かを隠しているのに気がついた。
「ねぇ、お嬢ちゃん?その後ろに隠しているものは何…?」
「あぁ…これ…?」
そう言って隠していたものを少女は取り出す。
そこにあったのは「空気」。
「残念!何も持っていませんでした!お姉ちゃん。何でそんなことが気になったの?まさか…」
数秒の沈黙。
そして近づく少女。
少女は耳元で問いただす。
「殺されるとでも…思った…?」
そして私から離れ、少女は不気味な笑顔を浮かべた。
「では、勇者のお姉ちゃん!ごゆっくり…」
そう言って少女は去っていく。
去っていく少女の背中を目で追いながら私は警戒を徐々に緩めていった。
「じゃぁ、まずは、衣食住かな…っと」
そう呟きつつ村を歩き回る。
時々「勇者様!」と声をかけられるがそこまで敵対はされていないようだ。
そして歩き回った感じ、外周は約1時間程歩き続けて一周ギリギリできるほどのかなりの広さ。
そして大きな像を中心とした村。
大きな像の周りには店などがズラーッと並んでいる。
物価は高く、軽々しく手の届くものではない…と思われる。
そして、村の壁付近には子どもたちの住む住宅街があった。
「まずは、衣食住の、住。かな〜」
そう言い、村長のもとへ歩みを進める。
「なぁ、村長さん…?私をこの村に住まわしてはくれないかね…?ちょっとの期間でいいんだ。人助けをすると思ってさ…?」
村長の家に押し込み、住を手に入れる許可をいただく。
どうせなら、一軒家も欲しいが…
「ゆ、勇者様の頼みとあらば…なんなりと…」
村長はそう言って地図を取り出し、外周付近で一番大きな家を指差す。
「取り敢えず今はこの家に住んでもらうってことでも…いいですかね…?」
「全然いいよ!ありがとう!やっぱり村長は話がわかるなぁ!」
そういうやり取りをし、取りあえずの住は、確実に確保。
次は食のためにモンスターを駆らなければならない。
私は村長から大事そうに鍵を受取り、「じゃ、」と軽く別れを告げ、村の門から外へ出る。
村の外には大きな木が沢山生えており、見晴らしがかなり悪くなっていた。
私はとりあえずで、村の入口付近のモンスター狩りをすることにした。
「緑のウルフは…避けたほうがいいかな…?一撃死だしなぁ…」
そう呟いていると後方から響く犬の鳴き声。
「来た…」
額に汗を垂らし、緑色の姿をした、少し体の大きい狼と対面した。
見たところ私のへその少し上くらいの大きさだ。
こいつが立てば、半端ない迫力だろうが、所詮は犬。
「ワン!」
そう犬が吠え、私の元へ一直線で駆けてきた。
私は犬をするりと華麗に避け、犬の身体に剣で少しの傷を負わせる。
次に犬が繰り出すのは突進。
もう一度、言うならば斜め上方向に突進を避け、犬の上側から少しずつ切れ込みを入れていった。
そうして「緑のウルフ」との交戦から5分が過ぎた頃。
私の剣は犬の血が滴っていた。
犬は血だらけになりつつ、ボロボロの、弱々しい身体で、弱々しく「ワン」と吠える。
突進を繰り出すも、速度、威力、共にほぼないに等しいくらいであった。
「残酷なことしたようで…ごめん…」
そう、犬に謝りながら、犬の首を優しく。そして、キレイに切り落とした。
そうして、犬の死体を村へ持ち帰り、いわゆる、ギルドのようなところで、犬の死体を、金と交換してもらったのだ。
犬は、さほど良い金額にならず、大体この村で一回食事ができるかどうかの値段だった。
「一日くらい食わなくても平気だ…」
そんなことを言い聞かせながら私は村長にもらった、かなり古い家…というか屋敷の鍵を開け、古び、錆びたドアを開き、中に入った。
中は薄気味悪く、電気が通っていない。
というより、電気の概念がないのだろう。
村でも、電気を使ったようなものは無かったから。
そして、どうやら、RPGらしく、魔法はあるようだ。現に、メニューからステータス。スキルを開くと様々な魔法や、剣技があるからだ。
犬を倒したため初級魔法どれか一種類だけは覚えれるようだ。
初級魔法は5属性で、「火」「水」「雷」「風」「闇」の5つだ。他にもたくさんの種類があるが、今覚えれるのはこれだけだった。
とりあえず次の為にも、一番気になる闇魔法を取ることにした。
「おしっ…と。これで闇魔法獲得かな〜えっと効果は〜」
「闇霧」30秒間大範囲に闇の霧を発生させる。敵への全ステータスデバフ効果をもたらす。霧の中にいれば姿を消せる。
そういう魔法を手に入れていた。
「えっ?これってなかなか…強くない…?」
暗くなってきたのでその一言を残し、私は眠りについた。
ぶあああああああ。
ほぼ書き直しして疲れたよもううう
クソつまらんのから、比較的良き良きでは!?とはなったね。
うん。
今回のリスペクト作品は特にありません!
サクサク進む話を作りたいと思っています。
そして、サクサク進んでいるように見えて、実はダラダラしている。そんな作品が好きです!