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time flies faaaaaa  作者: joblessman
1/6

アクション!

 はい。7月までには必ず働き始めます。なのであと少しだけ。

 迷惑かけてごめんなさい。

 あと、ありがとう。

ーーーーーーーーーーーーー


 遠くで声が聞こえる。

 光がまぶたを刺激している。眩しい。

 声が、段々と近くなる。


「起きろ!馬鹿、早く起きろって!」


 五月蝿い。

 目を開けると、タンクトップ姿のごりごりまっちょの男がいた。


「くるよ、急いで!」

 女性の声。振り返ると、パンツスーツにメガネをかけたキャリアウーマンが拳銃を構えていた。


「え、なんですかこれ?」


 戸惑う僕に、タンクトップは早口で言う。


「とにかく、お前も立て。あと1週間しかない!まずはまあ、物語のつかみだな。アクションだ!派手にいこうぜ!」

 アクション?何を言ってるのか。

 渋々立ち上がると、いつのまにかそばにいた白髪爺に拳銃を渡された。


「構えるんじゃ」


「へ?」


「いや、だからじゃのう、その銃を」


「はい?」


「構えるんじゃああああ!」


 どこでスイッチが入ったのか、温厚に喋っていた爺は、急に白髪を逆り立て叫んだ。


「とりあえず四人揃ったわね。アクションはとにかくどんぱちしてればいいのよ。構えて!始まるわよ!」


 言うと、キャリアウーマンはにこりと僕に笑いかけ、メガネ越しにウインクした。

 どきりとした。

 僕は急いで立ち上がり、あたりを見渡した。

 デパートのフードコートのような場所だった。

 向かいにある雑貨屋から、四人の覆面をしたものたちが現れた。


「撃て!」


 タンクトップが声を上げた。同時に、白髪爺もキャリアウーマンも撃ち始める。

 撃てと言われても。

 

「どんどん撃つんじゃ!」


 打ち続ける彼らにつられて、僕も撃った。

 弾はあらぬ方向に飛んでいく。

 当たっているのかどうかわからないくらい、無我夢中で撃った。

 気づけば覆面は倒れていた。


「大丈夫?怪我はない?」


 キャリアウーマンが、へたっている僕の方に近づいてきた。


「は、はい!」


 とても優しい声と顔に、僕は緊張した。


「オールクリアね。始まり、つまりつかみはとても大事。忘れちゃ駄目よ」


 いいながら、キャリアウーマンがウインクした。


「はい!」


 言っていることの意味はわからないが、ウインクにどきどきしたのは確かだ。


「話してる暇はねえぞ。ほら」


 タンクトップが下を指差した。


「へ?」


 床が真っ黒になっている。


「なんですか、こ、って、うわあああああああああ」


 渦を巻く床。


 落ちていく。

 

 ぐるぐる廻る。

 

 真っ暗だ。

 

 どこだここは。

 

 すとんと落ちて、浮遊する。


 ヒノキシラカバスギコレラ、目を擦り、鼻水たらして雨を待つ。鬱々と、積もり積もって闇に落ち、暗中探求の最果てに、あるはずのものは、からっから。ないものねだりの泣き寝入り。大便小便、快刀乱麻にもつれあえば、つまり大は小をかねるとはこのことなり。

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