久々の再会
窓の外に視界を向けると、雨に埋もれた景色が映った。
今、この別荘にはわたし一人しかいなかったのだ。
元々、ここに泊まっているのは一部の出演者のみで、他は日帰りで帰ったり、近くのホテルに泊まったりしている。
普段は常駐している成宮監督や本井さんも今、買い物で出かけていたのだ。
窓から成宮監督の車が見えた。
わたしはその車の助手席に男の人の姿を見たような気がした。そして、どこかでみたことのあるような男性が成宮秀樹と一緒に出てきたのだ。
わたしは何となく下まで下りていった。
玄関までたどり着いたとき、玄関の扉が開いた。
わたしはそこに立っていた人を見て、ある人を思い出していた。
千春の家で見た、水絵さんと一緒に微笑んでいた人。
「千春のお父さん?」
彼は目を丸めて、微笑んだ。
「君が京香ちゃんか」
わたしは頷いた。
彼の話し方はどこか尚志さんに似ていた。
「ここでは美咲でお願いします」
本井さんの言葉に千春のお父さんは苦笑いを浮かべる。
「相変わらず君は手厳しいな」
二人は知り合いだったのだろうか。
「二人ともリビングに入ろう。そこで話をしよう」
成宮秀樹が二人の会話に割って入り、そう促した。
「いつここに戻ったんですか? 千春は知っているんですか?」
「今日、日本に戻ってきたらしい。それでここに直行したらしいよ」
成宮秀樹がそう即答し、千春のお父さんは困ったような笑みを浮かべる。
なぜ子供に会いにいかないのだろう。
「近いうちに彼女たちには会うよ。今までのことを詫びないといけないから。でもその前に一言君に礼を言いたかった。果歩を演じてくれてありがとう」
わたしは驚きながら、彼を見た。
千春が父親は脚本を書いてくれたと言っていた話をなんとなく思い出した。
「いえ、わたしはまだ迷惑をかけてばかりですけど」
「君でよかったと思うよ。本当に感謝しているよ」
あの話を書いた、水絵さんを一番よく知っている彼にそう言われるとは思わなかった。
わたしは恥ずかしくなり、ただ頷くことしかできなかった。
「千春は明日、ここに来るから、それまで残って一緒に帰るといい」
「そうなのか。あの子も大きくなっただろうな」
彼はそう懐かしそうに微笑んだ。
明日、千春と杉田さんが一緒に来ることになっていたのだ。
サプライズという手法もあるが、やっぱり彼女に教えておいたほうがいい気がする。
「千春には前もって言っておいたほうがいいですよね」
「そうだな」
「だったら、わたしが電話します」
わたしはリビングを出ると、彼女に電話をした。
今は昼休みの時間ということもあってか、千春がすぐに出てくれた。
わたしは事情をかいつまんで、千春に説明した。
「お父さん、そっちにいるの?」
「うん。今日泊まるみたいだから明日には会えると思うよ」
「全く。でも、それでよかったかもしれないね」
「どうして?」
「いろいろあってね。明日、話すよ。電話だと上手に説明できるか分からないからね」
わたしは「分かった」と告げると、彼女との電話を切った。




