雨上がり
水たまりに映り込んだ空がこの上なく澄んでいて、幼い頃には上下が逆さまになった足場がぐらつくようなちょっとしたこわさのようなものを感じていたことをぼんやり思い出した。アスファルトの亀裂に染み込んでキラキラと光るその瞬間を心のどこかで待ち望んでいたような気がする。
雨が降って 止んで光って
それが童謡を思わせる楽曲の情景と同じなんだなと気付いたとき。まだ慣れない場所で、ほっと一息つける場所を見つけたような心境。自己肯定感はあまり高くない方だけど、<わたしもだいぶ、頑張ってるよね>と最近では自分に優しくできるようになってきた。スマホに幾度となく表示されるメッセージ性を漂わせたショート動画に従うなら『何かが変わってゆく』合図なのかも知れない。
そうだ。今日はあのカフェに行ってみよう!
あの日はまだ余裕が無くって、可愛らしいお店だと思ったのに通り過ぎてしまった。調べてみたら『抹茶のティラミス』が絶品なんだって。どんな味なんだろう。
『返信遅れてごめんね。わたしは悠依を応援してるよ。でも悠依は頑張りすぎちゃうから、肩の力が抜けるように一生懸命『念』を送るね!はぁあああ!!(猫の絵文字)』
そんなタイミングで届く親友からのメッセージ。ちょっとヘンなところは彼女らしい。でも…おかしいななんだか目からちょっと溢れてきちゃった。
『ありがとね。これからわたし、全力で『脱力』してきます!』
あたりに柔らかな風が吹き抜けてゆく。導かれるようにわたしは歩き出した。




