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第一話
「はぁ……。見てよサクラ、またやっちゃった」
五月の柔らかな日差しが降り注ぐ神界の縁側。新緑の匂いを孕んだ風に、ベテラン女神である皐月の溜息が混じった。
彼女の目の前には、本来なら豊作を約束するはずの祈祷札が、なぜか「巨大な柏餅」に姿を変えて鎮座している。
「あはは……。皐月先輩、それはそれで……美味しそうですよ?」
新米女神の桜は、困ったように眉を下げて微笑んだ。
彼女は今春に配属されたばかりの「桜の女神」。まだ白と桃色の巫女服が眩しい新星だ。
対する皐月は、数百年この地を見守ってきた「新緑の女神」——なのだが、実態は見ての通りの「ポンコツ」である。




