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ニコと宝の箱

 夜の部屋に、静かな月明かりが差し込んでいました。

 ニコはベッドの上で、宝の箱を抱きしめています。

 前に見つけたあの箱――思い出がぎっしり詰まった、特別な宝です。

 でも今日は、ただ眺めるだけではなく、箱を使ってみんなを元気づける決心をしていました。

 「よし……やってみよう」

 ニコは小さくつぶやき、宝の箱をそっと開きます。

 中から、柔らかい光がふわりとあふれ、部屋を温かく包み込みました。

 小さな写真、古い絵本のページ、手紙やちいさなメモ。

 どれもが、みんなの笑顔や思い出を映し出しています。


 まず向かったのは、少し元気のないモモです。

 窓辺で月を見ながら、ぽつりとつぶやいていました。

「最近、ちょっと寂しいな……」

 ニコはそっと近づき、宝の箱を開きます。

 光の中で、モモの小さな笑顔が次々に映し出されました。

「モモ、覚えてる? この日も笑ったんだよ」

 ページをめくるたびに、楽しかった記憶が部屋を満たしていきます。

 モモの目がぱっと輝きました。

「わあ……覚えてる! この日、本当に楽しかったんだ」

 光に包まれて、モモの小さな体がふわりと浮かぶように見えました。


 次に、ハリーのところへ向かいます。

 ハリーは音の種を手にして考え込んでいました。

 最近、森での冒険が少し大変に感じていたのです。

 ニコは宝の箱を開き、ハリーの笑顔や森の仲間たちとの思い出を映し出しました。

 「ハリー、見て! みんなと一緒だったでしょ?」

 光の中で、森の小さな精霊や、夜の冒険の楽しさがよみがえります。

 ハリーは少し戸惑ったように笑い、次第に表情がほぐれました。

「そうか……ぼく、忘れてた。でも、思い出せば力がわいてくるね」

 ニコの箱は、ただの光ではなく、心を励ます宝になっているのです。


 最後に、トトのベッドへ向かいます。

 トトは一人で森の気配を感じて、少し疲れている様子でした。

「トトも見てごらん」

 ニコは宝の箱を開き、トトの勇敢な姿や、精霊を助けた思い出を映し出します。

 トトの目が輝き、胸を張って小さくうなずきました。

「うん……ぼく、やったんだ。やっぱり、守る力はぼくにもあるんだ」

 箱の光は、ぬいぐるみたちの心をそっと支える力になっていました。


 部屋の中は、柔らかい光でいっぱいです。

 ニコは箱を抱きしめながら思いました。

「宝って、思い出をみんなと分かち合うことなんだ」

 自分だけで守るのではなく、仲間と一緒に喜びや勇気を増やすための宝なのです。


 月明かりが差し込む中、ぬいぐるみたちは箱の周りに集まりました。

 小さな光の中で、笑顔や温かさが広がり、部屋全体が幸せな空気に包まれます。

「ニコ、ありがとう」

 モモがそっと言いました。

 ハリーも、トトも、にこっと笑います。

 ニコは胸がじんわり熱くなるのを感じました。


 夜が深まるにつれて、宝の光は少しずつ穏やかになり、部屋の隅々まで優しく行き渡ります。

 ぬいぐるみたちは安心して眠りにつきました。

 ニコは小さくつぶやきました。

「この宝、ずっと守るんだ……みんなの笑顔も、一緒に」


 月の光が部屋に差し込み、宝の箱からの光と溶け合い、ぬいぐるみたちをやさしく包み込みました。

 その夜、思い出の宝は、仲間たちの心をさらに強く結びつける輝きとして、静かに光り続けていました。

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