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ニコと夜の宝さがし

 ニコは元気いっぱいの黒猫のぬいぐるみ。

 でも、今日は少し緊張していました。

 夜の部屋に、秘密の宝が隠されている――そんな噂を、ハリーから聞いたのです。


「宝って……本当にあるのかな」


 ニコは自分のしっぽをくるくる巻きながら、ベッドの上で考えました。


 兄さんは静かに絵本を読んでいます。

 モモは月を眺めている。

 トトはすやすや眠っています。

 だから、ニコが宝を探すのは、誰にも気づかれずにできる絶好のチャンスです。


 そっとベッドを飛び降り、夜の部屋を歩きます。

 足音を消すため、柔らかい毛足の床をそろりそろり。


 まず向かったのは、古い棚の裏。

 ホコリと静かな空気の中に、ちいさな光が差し込んでいました。


「ここかな……」


 ニコは目を凝らします。

 すると、棚の隅に、何か小さな箱のようなものが見えました。


 思い切って手を伸ばすと、小さな木箱がひょいと取れました。

 箱には、星や月の模様が彫られていて、光を反射しています。


「わあ……宝っぽい!」


 ニコは目を輝かせました。


 でも、箱を開けてみると、中には宝石やお金ではなく、古い写真や絵本の切れ端が入っていました。

 ちょっと拍子抜け。でも、ニコの心はそれ以上にわくわくしました。


 その中の一枚には、ちいさなモモが描かれていました。

 ふわふわの毛と大きな丸い目、楽しそうに笑っています。


「モモ……!」


 ニコはそっと写真を手に取りました。

 すると、箱の中から小さな声が聞こえました。


「ニコ……それはね、宝だよ」


 びっくりして振り返ると、箱の中にちいさな光が揺れています。

 光はだんだん形を変えて、モモの姿をした小さな精霊のようになりました。


「モモ?」


「うん。これはね、夜の思い出を守る宝なの」


 ニコは目をまんまるにして、聞きました。


「思い出……?」


「そう。宝ってね、お金や宝石じゃない。大切な気持ちや、楽しかったことを思い出すことができるものなんだ」


 ニコは胸の奥がじんと熱くなるのを感じました。

 それは、兄さんやハリー、トト、モモと過ごした時間そのものを思い出させる、あたたかい光です。


「ぼく……この宝、ずっと守れるかな」


 ニコは小さくつぶやきました。


「うん、ニコなら大丈夫」


 モモの精霊は優しく微笑みました。


「宝はね、守る人の心があたたかければ、ずっと光り続けるの」


 ニコは木箱を抱きしめました。

 その瞬間、箱からふわりと光が溢れ、部屋中を優しい月光のように包み込みます。


「わあ……すごい!」


 ニコの目がきらきら光ります。


 すると、部屋の中のぬいぐるみたちが、ひとりずつ目を覚ましました。


「ニコ、何してるの?」


 兄さんがそっと近づきます。


「宝……見つけたんだ!」


 ニコは嬉しそうに箱を見せました。

 中には、みんなの思い出や、笑顔がぎっしり詰まっています。


「なるほど……これがニコの夜の宝か」


 兄さんは微笑みました。


「大事にしなきゃね」


 モモの精霊も頷きました。


「思い出はね、守るだけじゃなくて、みんなで分かち合うともっと輝くんだよ」


 ニコはそっと箱を開き、みんなに見せました。

 笑顔や小さな手紙、古い絵本のページ。

 ひとつひとつが、夜の静かな部屋を明るくしました。


「ぼく……守るよ!」


 ニコは胸を張って言いました。

 そして、箱を抱えてベッドに戻ります。


 その夜、ぬいぐるみたちは、宝の光に包まれて眠りました。

 星や月の光が部屋に差し込み、箱の中の小さな思い出たちが、優しく揺れています。


 ニコは夢の中でも、宝を抱きしめながら思いました。


「宝って……ほんとうに特別だな」


 そして、みんなで過ごした夜の時間が、さらにあたたかく、ずっと胸に残ることを感じました。

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