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死者への請求書

作者: 山本輔広

 先日、心当たりのない請求書が届いていた。

住所自体はあっているのだけど、名前が違う。恐らくは前の住人あてのものだろう。


 しかしながら私が住んでいるアパートの前の住人は病気により亡くなっている。

物件を探しているときに管理会社よりそう聞いていたし、隣の住民さんもそういっていたのでまず間違いない。

つまり、死者あてに請求書が届いたわけである。


 管理会社に連絡したところ、手紙に『この住民は退去しております』などと書いてポストに投函すればいいらしい。

とりあえず明日にでもそうしようと思う。


 それにしても死んでなお請求書が届くとは、故人は死んでも落ち着かないだろう。

 そういったことは過去にもあった。

私は以前、老人ホームの管理者をしていたときがある。

その老人ホームは稼働率をあげるために、独居の老人や身寄りのないシニアの方々を多く受け入れていた。

というよりはほとんど身寄りのない方々だった。

 お子さんがいない夫婦でどちらかが先に亡くなって独り身になった方。

過去に犯罪を犯し家族から絶縁されて連絡先もわからない人。

元々ホームレスで生活保護を受けたが自分の名前以外なにもわからない人などなど。


 そういった方々が亡くなることがある。

大抵は後継人やソーシャルワーカーがついているので、死後はそれらの方々と手続きを行っていた。

亡くなってしばらくたってから、もういない方に対して請求書などが届くことがあった。

大抵は督促状や未払いの請求書だ。

届いたものはまとめて上記の方々に送っていたが、死んでなお請求書が届くというのはよく見ていた。

 かくいう私も亡くなった方が住んでいた老人ホームの清掃代や亡くなるまで住んでいた日数分の家賃や費用を請求することもあった。

(ただ本人宛ではなく後継人やソーシャルワーカー、市区町村の役所に送る)


 死して尚請求書が届くなんてなんだかなぁと思う。

もうその人はいないのに、その人に対する金銭は発生している。

死後は天国でごゆっくり、なんて思うが現世で請求書が届いているとなれば亡くなった方も何か思うところがあるのではないだろうか。


 私は今30代なので、事故などに遭わない限りはまだまだ寿命があるはず。

しかし、亡くなったあとに請求書がきても大丈夫なように、いくらかの金は残しておかないとなぁとしみじみ感じる。

もしくは請求書がこないように対策を練っておきたいと思う。




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― 新着の感想 ―
[一言] 自分が相続人ならいやでも来るけど。 払いはおんぶ抱っこでも税金関係は来ないことはほぼないからね。
[一言]  「人の本当の死とはすべての人の記憶から消え去った時である」 と言う言葉があるのですが、 未精算の借財がある限り債権者は忘れないでしょうし、肩代わりさせられた人は比較的長くそのことを覚えてい…
[良い点] お互いの作品を深く発信できることを願っています [気になる点] あなたの仕事はとても貴重です! [一言] これがあなたの思考の世界です!
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