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第17章 10

 コーリャは仲間の手を強く握りしめた。


 やっと彼女の謎が解けた気がする。彼女も仲間だ。同じ立場だ。


 祖父のコレクションの銀製のナイフを、オレグがジナイーダに差し出す。

「君へのプレゼントだ。アカトフは好きにするがいい」

 オレグは自虐を込めて囁いた。頭がしっかりしているうちは自分を抑圧し何度もしつけと称して暴力を振るった祖父を、殺すことはどうしてもできなかった。

 ジナイーダはナイフを受け取り、「抱きしめて」と言った。マリヤが、アリーが、コーリャたちが彼女の側に寄った。

「わたしに、殺せると思う?」

 ナイフを抜いて、アカトフに近づく。オレグとアレクスが手を添える。だけど、振り下ろすことはどうしてもできない。

「わたしは、ずっと放っておいてほしかった」

 ジナイーダが眠るアカトフに向かって叫んだ。

「あんたも母さんも、わたしを自分の玩具としか見ていなかった!」

 薬をアカトフにさらに飲ませ、オレグは諦めて言った。

「こいつを殺すことはできない。ジナイーダ……ハーニャ。そうだな?」

 ハーニャは泣きながらうなずいた。

「もう誰も殺したくない」

 コーリャは、シロンと共に二階に登った。そこには揺り椅子に座るオレグの祖父がいる。

「ソビエトの同志が……」

 祖父はびくりと反応した。

「目的を達成できる寸前で、失敗してしまったらどうすればいいでしょうか?」

 明瞭な声で祖父は答える。

「では、亡命したらよろしい。スイス、あるいはロンドンで、待つのだ。機会は必ず巡ってくる」

「なるほど、よく分かりました」

 コーリャとシロンは階段を降りた。今度こそ、皆でウクライナに帰ろうと提案するために。ハーニャを含めた、子どもたち全員で。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
こちらもまたすごいお話でした……! 冒頭から浮かび上がる景色にすぐさま引き込まれました。 天空から見下ろす長い列車、そこからレールのアップ、線路沿いの景色へと移っていき、ついには列車内へとたどり着く、…
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