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第13章 5 ジナイーダ
家の前まで来て、佇む人影に気がついた。
背の低い女の子だ__コーリャに気づき、駆け寄ってくる。オレグが呻いた。コーリャの顔はきっと引きつっていたに違いない。
「最近、ちっとも来てくれないのね」
ジナイーダは、開口一番、すねたように言った。
「父さんに話してくれる約束だったのに」
オレグがそっとコーリャの背中を叩いた。記者がその後ろから見守っている。
彼女は不気味だとマリヤが言っていた。それは、じっと視線を外さない彼女の青い瞳のせいかもしれないし、何をしでかすか分からないせいかもしれない。でも、今コーリャの周りには味方がいる。ここでマリヤとの約束を破ることはできない。
「もう、君には会わない」
ジナイーダの表情が落ちた。
「どうして?」
「理由は、君も分かってるんじゃないのかな」
ジナイーダは首を傾げた。背筋がぞっとする。
「あの子、生きてた?」
「マリヤは……元気だよ」
「そう。死ねばよかったのに」
「君が、そんな子だとは思わなかった」
いきなりジナイーダが、コーリャに顔を近づけた。
「じゃあ、もういいわ。あなたもしょせん、あの子たちと同じね。さよならする前に教えてあげる」
「何を__?」
オレグが眉をひそめた。
「聞かなくてもいい。来い、コーリャ」




