第11章 1 デート?
マリヤやアリーに散々やきもきされ、あの時の会話を見守っていたベゲモートやシロンからも気は確かかと呆れられながら、コーリャは何日も彼女との夜の密会を続けた。彼女は気まぐれで、楽しそうに自分の身の回りの話をすることもあれば、急に不機嫌になって話を打ち切ることもあった。
ジナイーダ・アカトヴァはコーリャより2つ年上の15歳である。父親は工場で働いていて、母親は私立学校の教師だ。美貌のためやっかまれることが多かったのか、ジナイーダの女友達はほとんどいない。
しかし、彼女にはボーイフレンドがいた__彼女自身がコーリャに話した訳ではなかったが、コーリャたちはそれを意外な形で知ることとなった。
その日の夜、5回目のジナイーダとの密会を終えて帰路についた時だった。今回の付き添いはマリヤだ。ジナイーダがマリヤに見せた怒りを警戒して決して姿を見せないように、マリヤは夕方のうちから公園で待機していた。
「長い時間付き合わせてごめん」
コーリャが謝ると、マリヤは鼻を鳴らした。
「初めて聞いた、あんたがジナイーダ関連で反省してるところ」
「だって、マリヤには迷惑をかけっぱなしだし」
「気づくのが遅いんだよ」
怒りながら、マリヤの目は笑っている。
「気のきかない男はジナイーダも嫌いだろうよ」
「そうかな」
コーリャは考え込んだ。
「僕をそんな目で見てるんじゃない気がする」
「そんなに自信があるのか?」
「違うってば。逆だよ。あの子は僕を男として見てない」
「へー」
「否定しないの?」
「あたしも、あんたを男だと思ったことはないね」
下らない会話に花を咲かせていた時だった。夜道を歩く二人の前に、音もなくやはり二人連れの少年が現れた。どちらも知らない顔だ。明確な敵意を持って、主にコーリャを睨みつけた。
驚きたじろぐコーリャとは対照的に、さすがのマリヤは動じない。
「あんたたち、何?」
と落ち着いた声で問いかけた。
「強盗にしては学校指定の制服姿が間抜けだね。変な真似をしたらすぐに通報される。どっかで因縁があったかな?」
「君には関係ない」
二人連れのうち、金髪で痩せている方(もう一方は大柄な筋肉質で、赤毛である)が一歩前に出た。軍隊の行進を切り取ったような折り目正しい動作だ。
「ジナイーダ・アカトヴァに最近まとわりついているのは、君だな?」
指を突きつけられ、コーリャは驚いた。けれど嘘ではない。
「まとわりついて……というか、最近友達になって……」
赤毛の方が鼻で笑った。
「友達、ね。毎晩夜にこっそり会うような関係なのに?」
「何で知っているの?」
「そんなこと、どうでもいい!」
金髪が叫ぶ。
「名前は?」
「あ、コーリャ」
マリヤが舌打ちする。彼女は実名を出すことを嫌う。
「そうか。僕はドミトリーだ」
「俺の名前は、オレグ」
次々と名乗る二人をコーリャは呆気にとられて見つめた。
ドミトリーは、胸を張って声高に宣言した。
「コーリャ! 僕は今、ここでお前には決闘を申し込む!」




