序
題名の読み方は『せんはちじゅうのせかい はいたにいさむ そらみつにさまようこと ~いぶん スーパーヒロインズ!~』です。
花浅葱様の代表作に、拙作の登場人物「夏祭 華火」と「宇治 紘子」を使っていただきましたお礼作品です。
花浅葱様『Dead or chicken ~鶏に転生したので、地球に戻るために鶏ライフを謳歌する~』
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名付けに驚いた人物は「キュラスシタ(キュラスタシアだと勘違いしていた時期がありました)」、推しは「シンドーク」様です。シンドーク様の椅子に、私はなりたい。
霜月二十四日(火)、俺はやっと地球に帰ってきた―はずだった。
見覚えのある道路、草木、空、行き交っているのは人間、逆立ちしてもここは地球だ。もっとも、俺はひよこのままだから、自力で逆立ちは不可能だが。
共に戦ってきた仲間が、いない。別々の場所に送られたのか、俺だけが呼ばれたのか、分からない。
瓦葺きの建物があちこちに、ある。忍者屋敷みたいだ。外壁には紫っぽい垂れ幕と横断幕。そこには、こう書いてある。
【ようこそおかえりなさいませ 皆のふるさと空満】
日本、だよな? 俺がよく知っている国だ。
―ようこそ、ひよこのリューガ様。いえ、前世では二十歳の学生、灰谷勇様でしたね。
「どこの誰か知らねえが、なんで俺の前世を!」
―私は、この地・空満に坐す空満王命に仕える者。全ての人の親である空満王命が、灰谷様を忘れたことは肩時もございません。
「ああ……なんか聞いたことあるぞ。教派神道のひとつで、空満神道があったな。信仰されている神が、人類の親だったかなんだか」
―お利口ですね、話が早いです。さて、ここは、本朝は内嶺県空満市袖之内町1080番地、空満大学でございます。灰谷様には1080の世界、と認識していただきましょう。
「おい、1080番地って、煩悩の数×10じゃないか。神道と仏教がこんがらがってないか?」
―はて、何のことですか。仏教も良き教えですが、狙ってこのような番地にしたわけではございません。それよりも、灰谷様にお願いがございます。この大学に勤める人物の「ある奇跡」を封じていただきたいのです。
空から金印が落ちてきた。俺は反射的に避けた。金だからな、ひよこの身体には鈍器だ。
―この印で、奇跡を封じてください。あなたの体内に小さくして収めておきます。必要な時に出てきます、ご安心を、灰谷様のお体には負担をかけません。世にも不思議な道具ですので。見事に封じられましたあかつきには、灰谷様を仲間の元へお返しし、正当な「地球帰還ルート」へ導きます。空満王命の手引きです。
「報酬はおいといて、その人物を助けられるのか? 悪行の片棒をかつぐのだけは、勘弁な」
―面白いことを仰いますね。さすが正義に燃える勇者。結果として、その人物を救うこととなります。お名前と、封じていただく奇跡をお伝えします。
俺は、天の声に絶句する。
―宇治紘子、そして、奇跡の名は「寄物陳呪・輪廻腕章、流転之縁起之純粋悪・人間道」
空満の神は、俺と「金時」を再び結びつけたのだ。
花浅葱様に質問し、本編と「みてみん」の人物紹介を読んだ上で臨んだものの、このような仕上がりで良かったのか、苦悩しております。