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8・シナリオブレイカー

(side 混沌の闇の王)


 大昔、世界が七度滅亡の危機に陥った際の大敵。

 その内の一つが我、混沌の闇の王である。


 忌々しげな勇者によって封印され、千年の眠りに付いていたが……ようやく覚醒の時が訪れた。


 しかしこのままでは、我の覚醒は不十分。

 千年の眠りは我から力を削いでいたのだ。

 このままでは外界の空気に、我の体は耐えられない。


 そのために我は目の前の少年の体を乗っ取ることにした。

 忌々しい人間の体に入るのは死んでも嫌だったが、今度こそこの世界を手に入れるためだ。それくらいの苦行は受け入れよう。


 我と世界を支配出来るのだ。

 それを少年に対する恩賞としよう。


 もっとも、我が少年の体を掌握すれば、彼の意識は消滅してしまうが……くくく、悪く思うなよ。



 だが、我の目論見は外れることになる。



『俺は五つの属性魔法を操ることが出来る。だから五つの属性で結界を重ねがけして、擬似的な混沌魔法を実現させた。偉そうなのに、そんなことも分からないのか?』


 はあ?

 この少年は、なにを言っている?


 こんな少年に五つの属性魔法に適正があることなど考えられない。

 千年前の勇者でもなしえなかったことだからだ。


 仮に使えたとしても、五重同時展開はさらに不可能。

 そんなことをすれば、矮小な脳しか持っていない人間の魔法回路が焼き切れるはずなのだから……。


 しかし少年は我の混沌魔法をいとも容易く防ぎ、かつ平然とした表情をしている。


 驚くべきことは、それだけではない。



『混沌魔法なら、もう使える』



 黒櫃ブラック・ホール

 最高難易度の混沌魔法。

 まだ完全体に比べたら、少年の作った宇宙は小さいものであったが……我一人を呑み込むには十分な力だった。


『くっ……! こちらも混沌魔法発動……いや、もう間に合わない!?』


 我は慌てて混沌魔法をぶつけて、黒櫃ブラック・ホールを相殺しようとしたが、時既に遅し。

 我の体は黒櫃ブラック・ホールに吸い込まれ、消滅しようとしていた。


 消えていく我を見て、少年は光悦の笑みを浮かべる。

 その表情は世界を統べる王……いや、極悪人のような風貌を漂わせていた。


 我は少年との格の違いを思い知った。


 千年我慢し、封印を解いたまではよかった。


 我の計算違いなことは、ただ一つ。

 目の前の少年の力を、見誤っていたことだった。



---------------------------


 本来、ゲームの追加ダウンロードコンテンツで語られるのは、『レオは混沌の闇の王に体を乗っ取られ、彼の意志とは関係なしに世界を破滅の危機に陥らせてしまう』というエピソードだった。


 無論、混沌の闇の王戦はチュートリアルではなく、レオがなにも出来ずにやられてしまうのが本筋だ。


 しかし転生してから努力を怠らなかった悪役貴族は、とうとう混沌の闇の王を打ち破ってしまう。

 そのため、ゲームの終盤にある『混沌』の力を得たレオとのラスボス戦も、消え去ったことになる。


 この時点でゲームのシナリオは大きく逸れてしまったのだ。


 だが、追加エピソードをプレイする前に『ラブラブ』の世界に転生してしまたレオは、このことを知らなかった。


 世界は運命に逆らい、また別の道を辿る──。

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