第四話 公団住宅の少年 其の四
公団住宅の少年 其の四
蓮木野市駅から、列車に乗って三つほど駅を跨いだその先に、轟南駅と言う真新しい駅がある。
この駅は元々、大規模町村合併のおりに、蓮木野市の隣に誕生した、轟市の南西に位置するこぢんまりとした駅だったのであるが、商業施設誘致を目的とした轟市の再開発計画により、大型ショッピングモールとの融合と、地下鉄延長線の敷設と言った魔改造を施され、今では、ステーションモールと呼んでも遜色のない駅となっていた。
しかし、その変貌はまだまだ道半ばであると誇示するように、駅前の広告看板には、近々、高層タワーマンションまでもが着工予定であると、堂々としたイラストと共に「分譲決定」の文字が掲げてある。
そして現在、カーミィは、その大型ショッピングモールの一角にて、どこまで至っているのか分からない列の最後尾を求めて彷徨っているのであった。
一体何をしているのかと言うと、中学校の校門前で宣告した通り、ミルクプリンの購入を果たすべく励んでいる最中なのである。
つまりは、このずらりと並んだ人界の者たちの列、全てが、ミルクプリンを求めて並んでいると言う事になる。平日だと言うのに――圧巻である。もちろん揶揄である。
「かぁ――。えらいぎょうさん並んでまんなぁ」
その列を目の当たりにして、白水丸は驚きの声を上げた。
小さな店舗を先頭に、行列を辿り、ショッピングモールの端まで来たと言うのに、最後尾はまだ見えない。
このあと何度か折れ曲がって、ようやく「ミルクプリン、およそ二時間待ちで~す」との、お姉さんの声に気が付いて、「最後尾」と書かれた看板をカーミィが見つけた時には、この広いショッピングモールを一周したかと思うくらいの距離となっていた。
すぐ横の広場には、メロディ付きのからくり時計が据え付けられていて、ちょうど軽快に、十時の音色を奏でている最中であった。
くるくると、旋律に合わせて人形たちが回っている。
――今の内に、ミルクプリンを買いに行っておけば良いのよ――。
今朝ほど「良い事思い付いた」と宣告したカーミィの言い分はこのように続いていた。
「ここに居るのが難しいなら、無理して居なくても良いと思うのよね」
まるで、某国王妃の「パンがなければケーキを食べれば良いじゃない」的なノリで言い放たれたその言葉は、更に尾ひれを付け加え、多様な願望を含んで述べられた。
どうせ、予定時刻になるまでは、監視しかやる事無いんだし――。
どうせ、少年ちゃんは、夕方までは学校から出て来やしないんだし――。
どうせ、無理に粘ったって、そこの若い警官に絡まれるか、近所のお婆ちゃんに話しかけられて、大きな飴玉もらえるだけだし――。
カーミィはそこで大きく「うん」と頷くと、
「やっぱそれってさ、絶対に、時間と神通力の無駄遣いだって思うのよね。だって、飴玉って美味しいけれどお腹は膨れないじゃない? 白水丸だってそう思うでしょ?」
それを聞いた白水丸は、「いや、飴玉関係ないですやん」と飴玉に関してはツッコミを入れたのであったが、肝心の監視継続の云々に関しては、何とも言えない表情を作るばかりであった。
何故ならば、『執行官』の基本的な役割は【悪意】を浄化するところに有るのであって、監視を継続するところには無いからである。
【悪意】の発現予定時刻は『預言書』にしっかりと記されていて、大袈裟な話、その時刻に対象を確認し、浄化さえ出来れば、途中で何をしていようとも全く問題ない訳である。
ただ、発現状況や場所までは記されてはいないので、下手をすれば見失う恐れと、時にはイレギュラーも発生したりするので、一応、食事などの休憩をはさみながらでも監視を継続するのが通例とされている。――が、過去には監視の度が過ぎてストーカーと間違えられたり、下着ドロや強盗と遭遇して騒ぎになったり、場所にもよるが、某国のスパイと間違われて、大立ち回りをやってのけたケースもあったりしたので、必ずしも監視を継続せよといった指導は行われていない。
つまりは、担当する『執行官』の状況判断に任せているといった具合で、中には意地でも張り付いて監視を継続する者もいれば、元より要点だけを押さえて監視を流す者もいる。
結局、どちらが良いのかはケースバイケースであり、とどのつまりは選抜を担当する『管理官』の腕の見せ所であったりする。
白水丸は、このまま無理に引き留めて警官とのトラブルになるよりは、一旦監視を離れて間を置く方が得策だろうと考え、仕方なく、ミルクプリン購入に同意したのではあったが、まさかこれほどまでの列に並ぶとは――全く以って予想外であった。
ようやく見つけた列の最後尾に、カーミィがいそいそと並んで「ふぅ」とひと息付くと、白水丸は肩口までよじ登ってから囁いた。
「お嬢。こんな列に並んでしもて大丈夫なんでっか? さすがに今回も遅刻となったら大問題でっせ」
白水丸の心配は大げさではなかった。カーミィは遅刻こそ前回が初めてであったものの、未遂となると両手両足の指では数えきれないほどの常習犯なのであった。
もし、カーミィがどこかの学校の生徒であったならば、予鈴が鳴って始めて校門に至り、生徒指導の教師から「あと五分早く家を出ろ」と釘を刺されるほどの生徒であったと言える。
そう言った含みの中で白水丸は注意を促したのだが、対してカーミィは締まりのない笑顔を作ると、
「だ、大丈夫だよ。まだ十時になったばかりだし、待ち時間も二時間ほどだってさっきのお姉さんが言ってたじゃない。夕方の予定時刻までには、十分に時間もあるんだし、余裕よ余裕。心配しなさんなって」
と、気楽な調子で一蹴したのであった。
しかし、心配するなと言われても、心配しなくて良い根拠がない。
白水丸は、前回のハンバーガー屋の時も同じような事を言われたな――と思い返すと、ため息交じりにその思いを口にした。
「そないなこと言われても、信用できまへんて。確か前回遅れた時も『すぐ食べ終わるから大丈夫』とか言うて、店に入らはったんとちゃいましたっけ? それにそもそも、なんでこないな遠くまでミルクプリンを買いに来んとあきまへんのや? いくら手土産やから言うても、ミルクプリンやったら学校近くのコンビニでも売ってましたやろに――」
――そう。
どうしてこんな遠方にまで買いに来たのか?
これこそが、白水丸を心配たらしめている最大の要因であった。
確かに、ミルクプリン購入に関しては、仕方なしと判断して同意はしたが、それはあくまでも間を置く程度のモノであって、こんな遠方の、しかも、時間のかかる列に並ぶなど、同意した覚えはないのである。
すると、カーミィは「――だ、だってさ」と、ひと言、言い置いたかと思うと、
「生徒たちがね『鳩の生け贄事件』って噂するくらいに、良くない事件が有ったみたいなのよ――」
と、表情も真剣なモノに切り替えて、その根拠を話し始めた。
大人しく耳を傾ける白水丸。
「――だからさ、早々に現場検証が終わったとしても、警察だって周辺パトロールくらいは続けると思うのよ。そんな中でウロチョロしちゃってたら、絶対に怪しいヤツだって目を付けられて絡まれちゃうわよ」
カーミィは、また大きく「うん」と頷くと、
「――だったら、今は無理して学校周辺に留まるよりも、思い切って離れた方が最善だと思うわけ。どうせ、監視対象の少年ちゃんは、夕方までは学校から出て来やしないんだし、白水丸もそう思ったからこそ、監視を中断する事に納得したんでしょ? 私はてっきりそうだと思ってたんだけどな――」
「いやまぁ、それはそやけどですなぁ……」
その通りではある……。
一部強引な部分はあったものの、カーミィの言った事は、概ね白水丸も思った事ではある。
しかし、それは「手段」という点で思っただけであって「程度」と言う点では全く思っていない。
いくら監視継続の判断が『執行官』に一任されているとはいえ、誰がこんな大それた列に並ぶ事を良しとするのか? きっと、ヘリオト女史に知られでもしたら、また衆人環視の中で名を叫ばれて、一時間越えの説教をされるに違いないのである。
白水丸がそんな思いから頭を悩ませていると、カーミィは畳みかけるように言葉を重ねて来る。
「――ま、まぁ前回の事が有るから白水丸も気にしてるんだと思うけど、前回は、ほら、お店での騒ぎに巻き込まれたから遅れちゃった訳だし、あれさえなかったら、本当は間に合ってたって話じゃない。それに、今回は買うだけでその場で食べる訳じゃないんだから、それこそ、そんなトラブルばっかり遭遇しちゃってたら、いったいどこの少年探偵が来てるのよって話じゃない。だから大丈夫よ、大丈夫――」
と、今度は、多少の懐柔も含めて言葉を発したのであった。
この時、白水丸は、このカーミィの言い様に多分な『違和感』を覚えていた。そしてその『違和感』の正体が何であるのかも、すぐに気が付いていた。
それは、カーミィが普段なら絶対やりたがらない『待つ』と言う行為をやっている事である。
いつものカーミィならば、例えば、ハンバーガー屋のレジに並んだ時、前に居る客がすぐに注文を行わず、メニューを眺めてあれこれ悩み出したりすると『なぜ先に決めてから並ばない!』と苛つきを露わにし、睨み倒しているくらいなのである。
その程度の事でさえ嫌っている行為を、今日に限って二時間もすると言う。これを違和感と言わずして何と言おうか? さすがに時間的余裕が有るとは言っても、あまりにも違いすぎるではないか――。
悩み続けていると、ふと、先日のシアニーの言葉が頭に浮かんでくる。それはシアニーが怪しいと感じ、スッポンの様な目をカーミィに向ける直前に言っていた言葉だ。
――あなたってば、隠し事をしていると、言葉を詰まらせる変な癖があるのよね――。
そう言えば――と、白水丸は礑と気付く。
先程からのカーミィは、言葉を詰まらせながら話している。これはよもや、疑いようもない先日の再現なのではないだろうか?
そう思い至ると、一気に風通しが良くなった気がする。おそらくだがカーミィは、何か引くに引かれぬ理由が出来て、このような、望みもしない列に並んでいるのだ。だとすると、その理由とはいったい何なのか? せめてそこだけでも聞きださなければ、最悪の事態に陥る気がする――。
白水丸は『シアニーとの件がなければ、丸め込まれていたかも知れないな――』などと僅かばかり省みると、その前例に倣うべく強気の言葉を吐き出した。
「――お嬢。なんか隠してますやろ」
語気を強めてそう言うと、カーミィは一瞬肩を竦ませた。
突如として強気を見せた白水丸に、戸惑いを見せたカーミィは、まるで『ギクっ』と擬音でも発したかのように「え!?」と声を漏らしてから、
「――べ、別に、何も隠してなんかないよ」
と、また、吐いた言葉を詰まらせるのであった。
白水丸は確信する。『隠しとるやないかい!』心の中でツッコミも入れる。
視線も泳がせたカーミィの仕草は、濃いグレーなどと言う中途半端なものではなく、あっという間に境界線を通り越した、真っ黒黒の黒スケさんであった。
白水丸は、「悩んで損した」とばかりに嘆息すると、真犯人を暴く探偵の如く言葉を並べる。
「お嬢――先日のシアニーはんが指摘した通り、さっきから喋る言葉が詰まってまっせ。確かお嬢には、隠し事があると言葉を詰まらせる変な癖があるんでしたなぁ――だいたい、面倒臭がりのお嬢が二時間も待たされる列に並ぶとか、明らかにおかし過ぎますよって。いったい何を隠してまんのや」
「え!? い、いやぁ……そのね……」
「怒りまへんから言うてみなはれ」
語気を強めたのが効いているのか、突如として逆転してしまった形勢に、カーミィは戸惑い、また言葉を詰まらせた。そしてそのままうまく言葉が出てこないのか、何の言葉も吐き出さないまま金魚のようにパクパクと口を動かす。
『ふん――もう一押し必要か。猪口才な』
白水丸は心の中で訝しんだあと、ならばとばかりに切り札の言葉を口にする。
「お嬢がその気やったら、ワイにも考えがおまっせ」
白水丸はそう言い置くと、
「今、ここで言わんのやったら、シアニーはんの買い置きしてたチョコレート、お嬢が何度となくくすねて食べてはった事、帰ったら告げ口さしてもらいますよって」
脅迫した。
「ちょっ、それひどい! あれは、シアニーに余分に巻き上げられた分を返してもらっただけよ! それに、白水丸だって食べたくせに!」
慌ててカーミィも反論する。が、白水丸は気にせず強気を通す。
「それでも、黙って食べてた事には変わりありまへんやろ。それにワイは、お嬢から渡されたから食べてただけで、知らんかった――とでも言うたら、何とでも言い逃れ出来ますよって」
「ぐ、ぬぬぬぅ」
「ほら、さっさと言うてみなはれ」
「……」
「言・う・て・み・な・は・れ!」
ひと言ずつ語気を強めてそう言うと、カーミィはとうとう観念したのか、
「――こ、この裏切り者……」
と、捨て台詞を吐いてから、ようやく、どうしてこうなったのかの経緯を話し始めた。
カーミィが「話せばいいんでしょ、話せば!」と、開き直ってから話し始めたその経緯は、この任務に就く少し前の話になる。ちょうどシアニーと二人、ヒソヒソと悪徳商人ごっこの会話をしていた、その時まで遡るのであった――。
◇◇◇
「ふ。おぬしも好きよのぉ――」
「いやいや、おぬし程では――」
「「ほーっほっほっほ」」
二人の合議が成立し、高笑いを終えたその時、
「何をしているのですか、あなたたちは!」
背後から突然声がして肩を叩かれた。
心臓が飛び出るほどに驚いてから、慌てて振り向くと、そこには、悪戯な笑顔を浮かべた『アドニス=アムール』が立っていた。
「もう――脅かさないでよ。ヘリオトさんかと思ったじゃない」
シアニーが心底驚いたと言う声を出すと、カーミィも激しく「うんうんうん」と頷いた。
ちなみに、シアニーが驚いてみせたのは、ちょこ――っと、自主的な休憩を取っているのが理由であったのだが、カーミィが驚いたのは、単なる条件反射でしかなかった。いわゆる『パブロフの犬』というやつである。唾液の代わりに冷汗が出るのである。
アドニスは、似てたでしょ? と言いたげに「フフフ」と笑うと、次いで、
「何を悪巧みしていたの? 私も仲間に入れて頂戴よ」
と、話に加わって来る。
もちろん、アドニスも自主的な休憩である。別称をサボりとも言う。
『アドニス=アムール』はシアニーの同僚で、緩やかなウェーブのかかった金髪の女性である。首筋辺りで一つに纏められたその長い髪は、彼女に良く似合っていて、まるでキツネの尻尾の様に愛らしく膨らんでいる。その、おっとりとした口調から、ともすれば年上に見られがちなのだが、これでもカーミィたちと同期の『二級分析官』であり、クレマチスのルームメイトでもあったりする。
一応、誤解のないように補足しておくと、カーミィとの確執があるのはクレマチスだけで、アドニス自身にはなんら含むところは無い。むしろそのやり取りを観劇するかの様に傍観しており、煽りこそしないまでも、このまま、暇つぶし程度には話題を提供し続けて欲しいと思っていたりする。なので仲裁などの無粋な真似は一切しない。
あと、この場を借りてもう少しだけ説明を加えると、【天使】たちは、皆、宿舎で共同生活をしており、二人で一つの部屋を共有している。いわゆる相部屋と言うやつである。
そして、その全ての【天使】が『ゆりかご』と呼ばれる施設から生まれて来るので、家族や兄弟姉妹と言った概念は無く、あえて例えるならば、学校で寮生活をしているといった感覚で、食堂や風呂、訓練所と言った日常生活や任務に必要な施設は有るが、カラオケやゲームセンターといった娯楽施設は一切無い。それ故、彼女たちは休暇となると許可を取って人界に赴き、常日ごろの疲れや鬱憤を癒すべく遊び倒すのである。以上閑話休題。
「別に悪巧みなんてしてないわよ。カーミィが今から任務みたいだったから、ちょっと手土産を頼んでいただけよ」
シアニーが何でもない事のように告げると、アドニスは首を左右に振りながら告げた。
「あら、だめよシアニー、言葉は正確に使わないと――『ちょっと』じゃないでしょ『ちょっとした』でしょ」
いかにも訳知り顔であった。
「どういう意味?」
カーミィが尋ねると、アドニスは、
「シアニーの目的がこれだからよ」
と、一冊の人界の雑誌を取り出して開く。
そのページにはこんな記事が載っていた。
あなたはもう食べた? 話題沸騰! 行列のできる最強スイーツの店、十選。
以下、写真と紹介記事が載っている。
首を斜めにひねりながらカーミィが記事を眺めていると、アドニスは得意気な声で付け加える。
「カーミィ。あなた今、シアニーからポチ袋を受け取ったでしょ? その中を見てごらんなさい。きっと、お金と一緒に『指令書』が入ってるはずだから」
「指令書?」
促されるままに中を見てみると、アドニスの言った通り、千円札一枚の他に、位置座標と店名の書かれた紙が入っていた。そして、そのすぐ下に、
――ジュウジカイテンスグナラベ。
と、昭和の電報のような文字が記されている。
「何なのこれ?」
カーミィがシアニーに尋ねると、シアニーは無言のまま両手を上げる。と、その様子を見て、アドニスは答えを披露する。
「そこに書いてある座標はね、この雑誌の中で一番大きく載っているミルクプリンのお店の場所なの。きっとシアニーは、今回のカーミィの任務が、このお店の近くになると知って一計を講じたのね。あなたさっきシアニーから、ヘリオトさんにお詫びをする為にミルクプリンを買う事を薦められたわよね?」
「え? ――うん」
カーミィが戸惑いながらも頷くと、アドニスは「フフフ」と笑い、
「そう。それこそがシアニーの策略って訳。本当は自分が食べたいから買ってきてもらおうと思ったんでしょうけど、それだとカーミィの事だから、列に並ぶのを嫌がるかも――って悩んだんでしょうね。だから、そうならないように、ヘリオトさんとの一件を利用して、買って来るように仕向けた訳よ。それならあなたも絶対に買って来なきゃって思うでしょ」
アドニスの言い様に、カーミィは「本当なの?」問いただすようにシアニーを見る。と、シアニーはそ知らぬ顔でついと視線をそらした。とたん『あ、やりやがったなこいつ』と、カーミィは呆れる。
アドニスはその様子に、大いに満足すると続けた。
「まぁ、あなたがヘリオトさんに迷惑をかけてるのは事実なんだし、このタイミングで一度お詫びをしておくのは、私も良い事だと思うわ――」
と、今度はカーミィの手を取りつつ、
「と、いう訳で――私の分もよろしくね。もちろんお釣りは良いから、手間賃代わりにでも取っといて頂戴」
と、満面の笑顔でポチ袋を握らせたのだった。
アドニスは「どう? 便乗してみせたわよ」と言いたげに微笑んでシアリーを見る。
シアリーはその表情を読み取って、僅かばかりに肩を竦める。
カーミィは、コンビニならいざ知らず、行列のできる人気店ともなると、さすがに、並ぶのが面倒だな――訝しんでいると、どこからか、また、新たな二人組が湧いて出て、
「ねぇ、何の話? 私たちも混ぜなさいよ」
と、話の輪に加わって来た。
まるでハイエナかハゲワシのように敏感である。ともすれば砂糖にたかる蟻である。
「何でもないわよ――」この前、カーミィの叱られてた理由が、何だったのか、聞いてただけよ。
これ以上人数が増えると大事になりそうだから――と言った思いから、アドニスはこの二人が加わるのを避けようとしたのだが、一方のカーミィは『良い事思い付いた』とばかりに手を伸ばすと、素早く、アドニスの口元を遮った。
まるで未来予知でもしたかのように、アドニスの口元を遮ったカーミィは、新たに加わった二人に対し、こう言った。
「混ざるのは良いけど、手間賃は高いわよ――」
と。
その声はとても楽し気なものであった。
この時、カーミィの両目は、既に「¥」マークが浮かんでいたのであった。
◇◇◇
全ての顛末を聞いた白水丸は、あまりにもくだらない理由に目眩を覚えた。思わず、
「て、手間賃て……」
と、そのくだらなさの根源たる単語を吐いてしまう。
すると、カーミィは口を尖らせて、
「だって、貰っとかないと私の分が買えなかったんだもん」
悪びれずに言った。
その言葉を聞いた白水丸は、さらなる目眩に襲われたが、器用に眉間を揉む事で、気持ちを立て直すと、
「――お嬢。本気でこんな列に並ぶつもりなんでっか?」
と、何とか言葉を絞り出す。
と、カーミィはすかさず、
「もちろんよ。手間賃を貰った以上、他のお店で買う訳に行かないもの。それに、並ぶとは言っても二時間程度の事なんだし、そのくらいならファミレスいって食事してるのと大して変わんないわ」
と、開き直って言ったかと思うと、続けて、
「それよりも、こんなにうまく時間が取れた事の方が驚きよ。任務の流れにもよるから一か八かの行き当たりばったりだったんだけど、ここまで状況が整って来ると、運命的なモノを感じてならないわ。こういうのってさ、ほら、なんて言うんだっけ? ――そう、【神】の思し召しとか言うヤツよね。きっとこの店で買う事が運命なんだよって、言われてるに違いないのよね」
――そないな事【神】は絶対言いまへん。
白水丸は、また、新たな目眩に襲われたが、また、器用に眉間を揉む事で気持ちを立て直すと、改めてどうするべきかと考えた。
ここまでの経緯を吐露した以上、カーミィはこの先、止めても全く言う事を聞かないと思われる。どうせ言っても聞かないのであれば、さっさとミルクプリンを購入させて、任務に戻らせる方が幾分にも効率的である。幸いな事に出現予定時刻までには十分に余裕があるのだし、それに昨夜から、僅かの睡眠もとってはいない。今の内にひと眠りできると割り切って考えれば、おのずと答えは出たようなものである。
白水丸は大きく嘆息すると、
「――分かりました。そこまで言うんでしたら、今回はワイのほうが折れますよって、その代わり、絶対に遅刻だけは勘弁しとくんなはれや」
と、釘を刺しつつ、諦めの言葉を口にしたのであった。
「大丈夫、分かってるって」
と、カーミィは気楽な返事を返す。その言葉は、もう、全く詰まってなどいなかった。
やれやれ――である。
――さて。
賢明な諸兄らなら、既に怪しんでおられた事かと思う。
シアリーが『悪だくみ』の件を否定して以降、ひと言も言葉を発していなかった事に――。
――そう。
シアリーは、両手を上げたり、視線を逸らしたり、肩を竦めて見せたりしていたが、特に何の「否定」も「肯定」も、していなかったのである。
このシアリーの行動は、相手の勝手な思い込みを誘導するための演技であり、つまりは、アドニスが指令書に気付き便乗して来る事も、新たに二人組が湧いて加わって来る事も、そして、その二人に対し、カーミィが手間賃を要求する事も、更に付け加えると、白水丸が諦めて許容する事も――全て、シアニーの想定通りの結果だったと言う事である。
シアニーは、元より、アドニス他二名を巻き込む事を前提として行動していた。でないとカーミィは、いくらヘリオト女史に詫びを入れる為とは言っても、それだけの理由では、絶対に、長蛇の列に並ぶ事はないと分かっていたからだ。
ならばどうするか?
その答えは、それ以上の理由を上乗せて避けられないようにすれば良い――である。
その為にシアニーは、ワザと、指令書を書いているところをアドニスに気付かせてみたり、目立つところに人界の雑誌を置いてみたり、二人組が声を掛け易い様にと、自室ではなく、廊下でカーミィに話しかけてみたり――と、そんな細かなところまで配慮して行動していたのである。
その結果、カーミィは見事策略に嵌り、自らの足枷となる「手間賃」を要求したのであった。
唯一の想定外が有るとすれば、アドニスが「釣りはいらない」と言った事で、そのおかげで自身が誘導せずとも、カーミィは「自発的に手間賃を取る事に気付き、要求してくれた」と、ほくそ笑んでいたのであった。
あまりにも上手く行き過ぎて、思わず口元が緩んだシアニーではあったが、その事は、誰にも気付かれずに済んだのであった。
どうして彼女がここまで手の込んだ事をしたのか? と言うと、その理由はもちろん――。
――自身で並ぶのが嫌だった。からである。
そんな事でかよ。と、思われるかも知れないが、普段、人界での任務がないシアニーにとっては重要な事で、休暇を取って人界に赴く事はとても貴重な時間であり、そんな貴重な時間を割いてまで、長蛇の列に並ぶなど、効率の悪すぎる苦痛でしかなかった訳である。
ならばカーミィに任せてしまえと一計を講じた訳であるが、一応は、任務中に赴くようにと仕向けたのであった。
でないと、休暇の時の遊びに付き合ってもらえなくなるからである。やはり一人でカラオケは寂しかったのである。
ようやく、区切りを見せた話の中で、白水丸は大きくあくびをすると、
「ほな、ワイはこの時間を利用して、ひと眠りさせてもらいまっさ」
と、いそいそと、ポケットの中へと戻っていく。その様子を見てカーミィは、
「え? 暇つぶしの話し相手になってくれないの?」
と、いかにも当てが外れたといった声を出した。
白水丸は心の中で、『何でそんなつまらんことに、付き合わんとあきまへんねん』と、思ってはいたが、そんな事を言ってしまうと『自身の分のミルクプリンを買って貰えなくなるかも知れない』と思い留まり、代わりに、正論を吐いてやり過ごす事にした。
「無茶言いなはんなや、お嬢。ワイが今、神通力を使ってスマホで喋ってるように見せかけてるからこそ、周りから怪しまれずに済んでますんやで、それやのに二時間もそんな事続けてみなはれ、ワイの神通力がのうなってしもて、干からびてしまいますがな。そんな無茶な事するくらいやったら、ポケットの中でひと眠りさせてもらった方が、よっぽど現実的ですわ。――って、それよりもお嬢は大丈夫なんでっか?」
「うん? 何が?」
「眠らんでも大丈夫か? 言うてまんのや。直前になって、眠とうて任務失敗とか、勘弁しておくれやっしゃ」
度重なる心配からか、白水丸がつい口に出してそう言うと、カーミィは大きく目を見開いてから、
「大丈夫。さっき神通力で眠気を飛ばしておいたから、お目目ばっちり」
自信満々に答えた。
「……さいでっか」
なんで、こんなところだけ準備万端なんやろ――。白水丸は何度となく呆れながらも、
「ほなら、遠慮なく眠らせてもらいまっさ。おやすみやす」
と、そっけない言葉を残して、ポケットの中へと入り込んでいった。実は結構眠たかったりしたのである。気疲れの度が過ぎたというやつである。
白水丸もカーミィ同様、神通力を使って眠気を飛ばす術は心得てはいたが、こんなばからしいことに使うのはもったいないと感じており、それよりも睡眠をとった方が、神通力の温存にもなるし、何より時間つぶしになって良いと思っていたのである。
白水丸に見放されたカーミィは、
――どうやって時間を潰そう。
違う意味で途方に暮れる。
ちなみに、カーミィたちはスマートフォンを持ち合わせていない。何故なら、そんなものを持ち帰っても空間の違う【天界】ではインターネットに繋がるはずもなく、何の役にも立たないからである。
ならばどうやってこの退屈な時間を過ごそうかと、カーミィが背後を振り返ると、派手な装飾で着飾ったセレブな婦人方が後に続いていた。
婦人方は、それぞれに、この毛皮のコートは海外からの取り寄せだとか、テニススクールのコーチにデートに誘われたとか、ホットヨガでダイエットしている最中だとか、そんな他愛もない事を話して上品に笑っていた。全く内容が噛み合っていないのに、どうして会話が成り立っているのかが不思議で興味が湧いたのだが、さすがに、この輪の中に入っていく勇気は湧かないな――と、カーミィは尻込みすると、意味もなく空を見上げるのであった。
「はぁ――退屈」
どなたかツッコんでやって欲しい。「あんた、任務中やんなぁ」と。
冬晴れの青く澄んだ空には、小さな白い雲が一つ、流れていた。
◇◇◇
そして――。
そして――。
そして……。
――大それた列に並んでから二時間が経った。正確には二時間と十五分が経った。
カーミィは、ようやく、列の最前たる小さな店舗前へたどり着くと、感動のあまりに胸がいっぱいになっていた。その心境はまさに、ゴールを目前にしたマラソンランナーそのもので、ただ並んでいただけにも拘らず、多分なる達成感が押し寄せてきていた。
白水丸は無情にも、あれから一度も起きては来なかった。酷いのである。薄情なのである。
あともう少し。
ゴールは目前である。
入店制限を担当しているアルバイトと思しきお姉さんの手が、カーミィの体前に遮るように伸ばされている。そのお姉さんのもう片方の手には『ミルクプリンお求めの方は最後尾へお並び下さい』と書かれたプラカードが携えられていて、未だ減少を見せない列の最後尾が、ショッピングモールの端へと消えていた。
――やはり圧巻である。もちろん揶揄である。
更に五分。ついに、待ちに待った瞬間がくる。
店舗の扉が開き、淡水色の紙袋を提げた女性が一人、出ていくのが伺える。
その様子を見たお姉さんは、
「お待たせしました、どうぞ」
と、カーミィの体前にかざしていた手を下ろした。
――ごおおおおぉぉぉぉる!!
熱血漢溢れる実況アナウンサーの叫び声が、幻聴となって聞こえて来る。
ようやく、この退屈地獄から解放されたと、カーミィが涙をちょちょ切らせながら、ゴールたる店舗の中へと入ると、ドアベルの「チリリン」と言った音と共に「いらっしゃいませぇ」と少し舌足らずな声が聞こえて来る。
明るく彩られた店内には、手前から奥に掛けてショーケースが二つ並んでいて、その中にあるケーキも、色彩豊かに並んでいた。
ショーケースの奥には、ほんわかと可愛らしく微笑むおばさんが一人立っている。
更にその奥の厨房には、職人気質といったおじさんが、今まさに、焼きあがったばかりのミルクプリンを大きなオーブンから取り出しているところであった。
厨房から流れ来る、爽やかで、かつ、甘い匂いがカーミィの鼻腔をくすぐり、大いなる感動と期待を呼び起こす。と、カーミィは間違えぬよう、もう一度、心の中で必要数を確認したあと、目の前のほんわかおばさんにその数を告げた。
「――十個。ミルクプリン十個ください!」
と。
うん? それって多くないかい? と、疑問に思われた諸兄方。大丈夫。カーミィは何一つ間違えていない。これが正しい数なのである。
では、ひとつ、ご一緒に確認しておこうではないか。
シアニーの分、一個。
アドニスの分、一個。
二人組の分、各一個。
ヘリオトさんの分、一個。
白水丸の分、一個。
そして、
自身の、自身の、自身の、自身の分――の計四個で合計十個。
やはり、間違いはないのである。資金の許す限り買いたいのである。
しかし、この後、カーミィは思いもよらぬ決断を強いられる。
満面の笑顔で告げたカーミィに対し、ほんわかおばさんは、とたん眉尻を下げると、申し訳なさそうな表情と声で告げるのであった。
「お客様ぁ大変申し訳ございませんがぁミルクプリンは人気商品に付きぃ、お一人様五個までとさせていただいておりますぅ」
思わず耳を疑うカーミィ。
「え? 五個……まで?」
「はいぃ、五個まで、ですぅ」
言うと同時にレジ前に貼ってある手書きの紙を指し示すほんわかおばさん。
確かに『お詫び』と書かれた文言の後に『ミルクプリンはお一人様五個までとさせていただきます』と記されていた。
ちょ……ちょ―――――――っと待て。
ついぃと冷汗が流れていく。衝撃から周囲の時間が止まってしまう。
五個、だと!? それでは数が全然足りぬではないか。仮に必要最低数で我慢するにしても、七個は必要となる。
「七個――ではダメですか?」
念のため聞いてみる。
「ごめんなさい。五個までですぅ」
やはりと言った返事が返って来る。
これは予想外であった。よもや購入制限があったとは、これでは誰かの分を諦めなくてはならぬではないか――。
カーミィは焦りながらも対応策を考え始める。
一応、ヘリオトさんの分はこちらの善意であるはずなので、今回は見送るとしても、もう一人分、断念しなくてはならない。では、いったい、誰の分を断念するのか?
白水丸の分? ダメダメ。そんなことをしたら、拗ねてしまって次から言う事を聞いてくれなくなってしまう。
自身の分? 馬鹿を言っちゃいけない。こんな辛い思いを我慢してまで並んだのに自身の分が無いなんて、これではただのパシリではないか。
では、アドニスの分? ――いや、きっと無理。あれだけ見事に便乗して来た相手に対し、代用品のコンビニプリンで誤魔化せるとは思えない。同様に手間賃をぶんどってる二人組の分も無理。
ならば、シアニーの――いやいやいや。考えるだけで恐ろしい。言い出しっぺの彼女にそんな事をしたら、後でどんな報復をされるか分かったもんではない。
カーミィは僅かに身震いすると、急ぎ、脳みそに神通力を注ぎ込み、別の打開策を考え始めた。まるで囲碁か将棋の名人のように数多の打開策を思い浮かべ、取捨選択を繰り返し厳選していく。そして、光の速さでこの惑星を七周半したほどの時間で結論に達すると、
「分かりました。取り合えず五個ください」
と、何かを決意した表情で、ほんわかおばさんに告げたのであった。
支払いを済ませ、淡水色の紙袋を受け取って店舗を出るカーミィ。と、未だ減少を見せない列を辿り、最後尾を目指して走って行った。
――そう。カーミィはもう一度、この列に並ぶことにしたのだ。
数が足りず、喧嘩になるくらいなら、もう一度この列に並び、予定数をそろえる方が最善であると判断したのだ。
最後尾にはすぐに辿り着く。
初めて並んだ時とは違い要領を得ていたカーミィは、折れ曲がった列の途中から反対方向へと曲がる事で、無駄なく最後尾を見つけ出したのであった。
朝と同じお姉さんの声がする。
「ミルクプリン、およそ二時間待ちで~す」
一言一句、変わりのない台詞にデジャヴを感じ、最後尾に滑り込む。息を整えながら、近くの広場に据え付けられた、からくり時計に視線を向けると、針は十二時四十分を指していた。
カーミィは思う。
うん、これなら大丈夫。待ち時間が先ほどと同じで済むのであれば、三時――いや、遅く見積もっても四時には買う事が出来るはず。そこから中学校へ戻ったとしても、出現予定時刻の六時には余裕で間に合う計算になる――。
カーミィは現況を分析し終えると、僅かながらに安堵の息を吐いた。
すると間もなく、ダッフルコートのポケットがもぞもぞと動き、ひょこんと白水丸が顔を出す。
――やばい。起きやがった。
カーミィはそう思いつつも、声を掛ける。
「ど、どうしたの白水丸。そんなに慌てて」
出来る限り平静を装って声を掛ける。と、白水丸はきょろきょろと辺りを見回した後、
「――あれ? もう買い終えはったかと思いましたけど、勘違いでしたかいな?」
その言葉に、カーミィはヒヤリと汗を流す。今ここで、もう一度並んでいる事がバレてしまうと、絶対に反対されて、説得するのが面倒になってしまう。何とか誤魔化さなくては――。
カーミィは白水丸に気付かれぬよう、僅かに息を呑むと、
「な、何言ってんの白水丸。寝ぼけて夢でも見たんじゃないの? 列に並んでからまだそんなに経ってないよ」
嘘は言っていない――と、カーミィは思う。確かに二回目を並んでからは五分と経っていないのである。以前誰かが言っていた。嘘を吐く時は多少なりと本当の事を混ぜるとバレにくくなるのだと。多分シアニー辺りであったと思うが定かではない。
すると、効果があったのか、白水丸は、
「あれ? そうですのん? なんやさっき、めっちゃ良い匂いがしたかと思たんですけど……まぁええですわ。ほなまぁ、もうしばらく眠らせてもらいまっさ」
と、また大きなあくびをしたかと思うと、いそいそとポケットの中に戻って行った。
寝ぼけていた所為か、カーミィの言葉が、また、詰まっていた事に白水丸は気付いていなかった。
カーミィは、
「う、うん。ゆっくり寝てていいよ。まだまだ時間掛かるから――」
と、言いながら安堵の息を漏らす。
このあと、さらに予想だにしない事が起こるとは、この時のカーミィは知る由もなかった。
参考までにお伝えしておこう。白水丸は『乙女座』なのであると――。
ここまで読んでいただいた方。有難うございます。たかはらナントです。
いつも思ってる事ですが、後書きって書いた方が良いのかなぁ? と悩みながら書いてます。
プロの先生方の本でも、書いてる方と書かれてない方、二通りありますし、後書きの代わりに解説が掛かれている時もあります。
ただ、とある有名な先生の後書きに、「ボクは後書きから読みます」と堂々と書かれてあったりしたので、やはり必要なのかなと、感じたりもしています。
つまり、何が言いたいのかというと、後書きが目に入る事によって、物語を読んだ後の余韻が醒めてしまわないかと懸念してるだけなのです。
もしかすると、急に後書きを書かなくなるかもしれないかも知れませんが、そう言った理由からですので、決して書くネタが無くなったとか、そう言う事ではありませんので、ご理解いただけると助かります。
さて、次回ですが、少し違う視点からの話になります。ご期待ください。