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いばら

作者: 奥田 繭

ざわつく胸のいばらをはみ出させたままで

近づこうとしただけなんですわたしほんと

そんなに気味がわるいとはしらなかったから

でもこれからはきをつけます近づかないように


困ったかおを見たかったわけではないのです

わざと怖がらせたかったわけではないのですわたしほんと

少しだけあたたかな体温というものを感じてみたかっただけごめんなさい気味がわるくて


だからこれからは近づきませんだって嫌われたくないからごめんなさい

どうしてそんなにわたしのいばらを指さすのですかこんなにあやまっているのに


………………


いばらを仕舞うことは考えてもみませんでした

いばらを仕舞えば近づいてもよかったなんて

いばらははみ出したらはみ出したままで生きるものだと思っていましたいばらは仕舞えばよかったんですね


ありがとう教えてくれて

ありがとう近づいてくれて

ありがとう初めてのあなたありがとう


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