元凶
ヒメナが緑色の芸人に指鉄砲した。
何も当たってないのに緑色の芸人が苦しみ、何か言って、ヒメナの頭にツッコンだ。
ヒメナがポケットから、まるで万能薬の様に赤チンを取り出して頭に塗った。
すぐに治ったらしい。
そしたら急にハリセン持った関西人が出てきた。
そいつが緑色の芸人叩いて殺して、ヒメナと揉めて、ブチ切れながらコッチに来た。
「おい! 兄ちゃん! 誰に断ってヒメナの相方になっとるんや! 決闘や! 勝った方がヒメナの相方や!」
そんで今コレ。
気狂いそうになるわ本当……。
何なんだよこの世界……。
「ふうう〜……いいよ。負けないし」
煙草を吹かしながら答える。
何でも良いから早くやろう。
早く終わらせて、早く焼きそば食って、早く寝たい。
「キョウヤ! ウチの為に戦ってくれるんやな!」
「そうそう」
「キョウヤ〜! 流石ウチの相方やぁ! 惚れてまうわぁ!」
もう、それでいいから早く終わらそう。
ヒメナが戦ってる所見て、今日は疲れた。
早く寝て忘れたい。
「お前何俺の女といちゃついとるんじゃボケェ! 『何でやねえん!』」
「アカン! キョウヤ避けて! コイツこう見えてBランクピン冒険者なんや!」
ハリセン持った男が俺の頭を叩いてきた。
ーーカチッ。
ーーシュボッ。
「ふうう〜」
本日五本目の煙草に火をつけた。
美味い。異世界で美味いのは煙草だけだ。
「なっ!? 痩せ我慢しとるのも今のうちや! 『どないやねええええん!』」
「アカン! キョウヤ! めっちゃキレの良いツッコミや! 避けなきゃ死ぬで!」
「ふうう〜」
赤マルがあるって事は他の銘柄もあるのかな?
どうせなら異世界ぽい煙草を吸ってみたいものだ。
「何やコイツ! 物理攻撃が効かんのか!? なら魔法や! 俺は魔法も得意なんや! 『バァン!』」
「アカン! キョウヤ! ウチ一旦焼きそばの食材買うてくるわ! 特売終わってまう!」
「はいはい」
ヒメナが街へと走っていった。
焼きそばが楽しみだ。
〇
『バァン!』『バァン!』『なんでやねーん!』
(きっつう……)
俺はウロチョロ目障りなハリセン男を無視し、空を見上げて考える。
(多分……指鉄砲とかマシンガンしたら死ぬよなぁ)
絶対、つまんないとダイレクトに言っても死ぬ。
多分気絶くらいに納めるには、フワッとつまんないって伝えなければならない。
何と面倒臭い。
「クッソおおおおお! 『なんでやねん!』『バァン!』『どないやねん!』何とか言ってみろやぁ!『なんでやねん!』」
……。
「レパートリー少くね?」
「ぐわああああああああああああ!」
ヤバい、やりすぎた。
死んだか?
「あっ……赤チン赤チン……ふぅ……くっそ! 何やねん不意打ちかいな! 卑怯なやつやで! こうなったら最終奥義出したる!」
良かった。生きてた。
最終奥義も出してくれるみたいだ。
そろそろ帰れる。
「コレがウメダのダンジョンの結界すら破壊した俺の最終奥義……」
「は?」
最近聞いた単語の羅列がコイツの口から聞こえた気がした。
……とりあえず久しぶりにスキル鑑定使ってみるか。
「ノリツッコミや! 『せやせや……って、ちゃうやろ!』」
今まで以上に気合の入ったツッコミだった。
一旦何かに頷いたフリをして、その後全力で俺に向かってハリセンを投げつける。
(はあ……くっだらな。どれどれ、鑑定っと)
ハリセンがペチンと胸に当たり、地面に落ちた。
ハリセンを踏みつぶし、俺は鑑定を発動させる。
キヨシ:レベル31
スキル ツッコミ
スキル バンッ!
スキル ノリツッコミ
……ヤバい。
マジでくだらない……。見なきゃよかった。
でも、気になるからノリツッコミと言うところを良く見てみる。
おっさんの声が頭の中に響く。
【ノリツッコミ】
『コイツ、このスキルを使ってウメダのダンジョン3階層にある封印を破壊したらしいで? ほんでオークっさんに襲われてるヒメナっさんを助けて、ええカッコ見せよ思たらしいんやけど、ファンミカドラゴンさんも出てきて、怖わなって逃げ出したんやって。知らんけど』
(え? じゃあコイツがいなかったら……)
『ヒメナっさんとダイスケのおっちゃんはコンビ解散してへんのちゃう? てかキョウヤっさんがこの世界に来たのもコイツが封印を解いたのが原因っちゃ原因やな。知らんけど』
「……ふうう~」
俺は煙草を一気に吸うと、火のついた煙草をを地面に投げ、足で踏み消した。
目の前でキヨシがうろたえてる。
「なっ! なんやねんコイツ! 俺のノリツッコミも効かへんのかい!」
拳を握りしめた。
「死ねオラアアアアア!」
「ぐわあああああああ!」
俺は全力でキヨシを殴った。
「バラエティの強さちゃいますやん!」とかいうから、余計ムカついてボコボコにした。
「アカン! アカーーーン!」
「うるせえ! オラアアア! 全部てめえのせいじゃねえかあああ!」
……そして五分後。
――カチッ。
――シュボッ。
「ふうう~」
今日六本目の煙草に火をつけた俺は、地面に倒れているキヨシに座りながらドウトンボリを眺めていた。
遠くから誰かが走ってくる音が聞こえる。
「キョウヤ~! ホブゴブっさんのドロップ品売った銭でめっちゃ肉買えたわ~! 今日は肉焼きそばやで!」
「……ああ」
ゆっくりと立ち上がり、ヒメナの元へと向かう。
「やっぱりキョウヤはごっつ強いなぁ! 負けるわけあらへんと思ってたで!」
「……ああ」
ヒメナが目を輝かせながら俺の腕にしがみつく。
どうでもいい。
早く焼きそば食べよう。
「キョウヤとウチがいればSランク冒険者になるのなんて余裕やな! 一緒にテッペン目座そな!」
「……ああ」
(……なりたくない)
俺は生返事をしながらこれからどうするかを考える。
(とりあえず、明日から金稼ぎながらこの世界から戻る方法を調べよう……)
ーーこの粉もんときっついノリしかない世界から、早く帰る為に!
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