プロローグ
『ギッ……ギギィ! 飴ちゃんあげよかああああ!?』
「アカン! ダイスケのおっさん! 後ろ! 後ろやああああ!」
「アッ……アカーーーーン!」
「アカン! ダイスケのおっさんがしばかれてもうた! なんでこんな所にオークはんがおんねん! ボケコラァアア!」
正味、ウチは今死にかけてる。
具体的に言うとウメダのダンジョン3階層で、おばちゃん型モンスター『オーク』にめっちゃ追いかけられとる。
(普通オークはんなんて5階層以上潜らんと出てこうへんモンスターやろ! なんでこんな浅い階層に出てくんねん! なんやねんこのノリ! きっしょいわぁ!)
ほんま最悪や! なんもおもろない!
こんな事になるなら冒険者ギルドに入るんやなかった!
伝説の冒険者タウンタウンに憧れた過去の自分をどつきまわしたいわ!
オトンのたこ焼き屋継いでた方が痛快エブリディやったわ!
『ギッ……ギギイ! よそはよそ、うちはうち!』
「いったあああ! なにすんねんハゲェ!」
オークはんの半端ないしばき。
バチコンとハリセンがウチのドタマを掠める。
どう考えてもバラエティの強さちゃう!
まともに食らったら脳みそぶちまけるの確実や!
リアクション取る暇もないやんけ! 冒険者潰しや!
「あっ……赤チン赤チン……」
ウチは走りながらぽっけの中から最後の赤チンを取りだし、頭に塗った。
これで回復手段は無くなってもうた……こうなったら戦うしかない! 知らんけど!
足を止めて振り返り、オークと向かい合う。
「くっ……舐め腐りおって! ウチなんて鼻ほじりながら倒せる言うんか!」
『ギッ……屁こきながらでも余裕やわ~』
――プゥ~。
めんどくさ~! ホンマ腹立つわ! 鼻クソほじりながら屁こきおって!
ウチが女だからって完全に調子こいてるわ! 全然おもんない!
せやけどな! ウチだって戦えんねん! Dランク冒険者の意地見せたるわ!
「ぼてくり回したるわ! 食らえ! 『バンッ!』」
ウチは指を鉄砲の形にして、オークはんに向けて『バンッ!』って言ったった。
ウチの魔法や。しばき倒す事は出来なくてもキャン言わせるくらいは出来るやろ。知らんけど。
『ギッ……ギギ! 全然効かんわぁ! 蚊が止まったかと思ったわぁ!』
「なっ! うちの鉄砲でもノーダメージなんか!? なんてノリが悪いんや!」
実力差えげつなかったわ。やっぱオークはんは半端ない。一周回ってリスペクトやな。
最低でもCランクレベルがじゃなきゃキャン言わさへんわ。しんど!
(アカン……ウチここでしばかれてまうんか……)
千人の前でスベリ倒した感じやったわ。耳キーンなって、なんも聞こえんくなる。
視界もな? キュゥー狭なって、暗くなってくんねん。いかつぅ~。
オークはんが鼻ほじりながらハリセン振り上げんのが見えた。
(最後に……オトンのたこ焼き食いたかったわ……)
ビリケンさんの所に行くんを覚悟したその瞬間……。
『ギッ!?』
オークのドタマが吹き飛んだ。
「何やて!?」
ウチの素っ頓狂な声がめっちゃウメダのダンジョンに反響する。
目の前でズッシーンってオークの身体が崩れ落ちる。アホ丸出しや。
「おい、そこの女! このダンジョンの出口は一体どこにある! どんだけ複雑なんだよここは!」
オークに代わって現れたのは、シュッとした男前な兄ちゃんやった。
黒シャツに細身の黒ズボンのシンプルな服装って、ホンマ男前やないと出来んよなぁ。
黒髪ってのも珍しいやんな? 変な言葉つこてるし異国の人やろな。知らんけど。
「そこの女! お前に聞いてるんだよ!」
兄ちゃんに見惚れていると、キャンキャン大声でガヤりおった。
なんやねん。イラチな人やなあ。
ケンケンすんのはカルシウムとお笑いが足りないからやで?
しゃーない。一発かまして場を和ましたるわ。
「今日はこれくらいにしたるわ! ほな!」
「……」
「って! つっこまへんのかーい! ノリ悪いでぇ!」
「そう言うのがくっそむかつくんだよ! なんだこの世界!」
これがウチと兄ちゃんの初絡みやった。
軽スベリや。
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