32.キス
競技場を走っている大輝。
すると腹を大きくしたみさきが歩いてくるのに気が付く。ジュノに足早に近づいてくる大輝。
「やあ。郵便箱にレモン味のタブレットを百個入れてくれたの、君?」
「ああ、そう。あたしだよ」
「ふふっ、なんで?」
「なんでって、あなたの好きなものだし、それに一粒たった1カロリーのタブレットならたくさんあっても困らないでしょ?だから」
「ふふふ、どうもありがとう。大学に入学するまで買わないで済みそうだ。」
「でしょ?あのね、大輝、あたしね、ひどいこと言ってごめん、あなたは悪くないのに」
「いんだよ。それはいいって。」
「それに私、あなたを愛してるし・・・」
「友達として?」
「違う、本気で大好き。あなたは私があった中でいっちばん素敵だもん!かっこなんかつけなくてもかっこいいし、ほんとに。」
「裏で努力してるんだけど。」
「もともと頭もいいし、ほかのみんなと違うもん。あなたは私のお腹じゃなくて、顔を見てくれる。それにあたしが、あなたを見るたび、あ、赤ちゃんがすごくお腹をけるの」
「ほんと?」
大輝の手を引っ張り腹に押し当てるみさき。
「あははは。すごい。」
「きっとあなたを見るたびに心臓がどきどきするからだと思う」
「僕もだ」
「その言葉だけでうれしい。あなたが一番。」
「あのさ・・・・・・キスしてもいい?」
大輝のそのエロい言葉にみさきは、
「いいよ。」
と即答する。
少し離れたところで短距離の練習をしているみずきがこっちをみて笑い出している。
「おい、みさきー、そんな熱烈キスしてると早く陣痛が始まっちゃうぞー」
みずきに向かってファックをするみさき。
「あ、そうだ。ちょっと来て」
キスをし終えて、メロメロになっている状態なのに陸上競技場のわきの休憩所に手を引っ張られていくみさき。
そこにはいつも大輝が持ち歩いているリュックが無残にベンチの上に置かれている。
おそらく急いで練習に来たのだろう。
するとごそごそとリュックの中をあさりまくる。
「あの・・・これっ」
と、ひょこっと大輝の手のひらに載っているのは手のひらサイズのプレゼント用に包まれていいた箱だった。
「これは・・・・」
「ああ、これっ、そのー、前ショッピングモールでさくらと俺がいるって話したよね?」
「もしかして?私にプレゼント!?」
「そ、そう。ごめんね、喧嘩までして隠しちゃって・・・」
「ううんううん!こっちこそ本当にごめん!勝手にそっちが浮気してるのかなーって勝手に被害妄想してた・・・。ごめん大輝」
はい・・・と優しく今度は私の手のひらにその小包をのせる。
「あけていい?」
「いいよ」
リボンを外し、裏のテープを取り、開くとそこには「最新の音楽プレーヤー」が姿を現した。
「これ!?結構高いんじゃ・・・」
「まあね」
「ありがとう!」
おもわず大輝に抱き着くみさき。
すると再び遠いところから、ひゅーひゅー!とみずきの声に続いて、周りにいる女子陸上部たちも声をあげてた。
「うるさーい!こっちはプライベート中!」
と反抗した声に大輝が微かに笑う。
「はあ~?プライベートならだれも観てないところでやれっつーの!」
とみずきが反発してきた。
でも、なんだか赤ちゃんがすべて幸せを結び付けてくれた気がしてならなかった。




