02.みずきから電話
「そんな見方しなくてもいいだろうに~」
ぐちぐちとぐちをこぼしながら帰路をたどっていく。
検査薬振ってるからって妊娠したとは限らないっつーの!
路面が凍ってしまいそうな季節、novenber。
正直、凍っていたら思いっきり滑りたい。そのまま転んで
打ち所悪くて、このまま死んでしまうのもありかもしれない。
本気で死にたい。なんなら自殺するか・・・・・
とぼとぼと帰路をたどりながら考えてみるも、そんなネガティブなことは
昔から考えられないタチだ。
頭のどこかでゆっくりと消えていく。
寒風が体を冷やし、服の隙間から冷気が腕を胸をそしてお腹を冷やす。
「はぅー」
溜息かわからない息がゆっくりと消えていく。
ぷぶぷぶぷぶぷぶぷぶ。
制服のポケットの中でバイブとともに、音が鳴っている。
画面を目の端でとらえ、相手が誰なのかを確認する。
「はーい」
「あ~、聞いたよ~妊娠したんだって?」
「そう!」
冗談まじりにそういってみる。
「あはははは。それより聞いた~、恭子別れたんだってさ~」
電話さながらのザラザラ感が、もともと少々がらがら声のみずきの声をとんがらせる。
「妊娠の話はスル~かよっ」
「え!?」
「妊娠はするーなの?」」
「なにが?」
「だから妊・・・はあ、なんでもない・・・・」
私もだけどみずきは曇り空も快晴に見えるぐらいの楽天家だ。
「ねえねえ聞いてる~~?」
「・・・・・・・・・・」
「どうしたのどうしたの、なに怒ってんの?」
「妊娠はスルーなのっ!」
「はあ?妊娠って・・・今、みさきの中ではやってる冗談でしょ?えええー、なになに~
冗談かまってほしいの~~?」
「あのね・・・冗談じゃないのって言ってるの!」
長い沈黙が続く。
みずきはみさきの言ってる言葉の意味を精一杯理解しようとしている。
「え、まじでっ・・・・」
「死んでもいいくらいほんとなの、これが」
「う、うそだ~、最近寒くなってきたから食べ過ぎたんじゃなーい?」
まだ信じないのかよ。いい加減信じてほしい。そんなに私は信頼されてないのか。
「検査薬はずっと+だし、いつもならそろそろ生理なのにこないし」
「じゃあ、ほんと?」
「これはがち」
「やばいじゃん!!」
最初からそのテンションで来てほしかった。
「病院はどうするの?さすがに生むわけないよね?」
「生むわけないじゃん。明日の放課後でも婦人科行ってくる。」
「中絶ってこと?」
「そう」
うーん、確かね。と言いかけてみずきは沈黙を続いた。
「確か、国語のようこ先生、中絶経験あるってさ」
「って言えるわけないじゃんか。言ったら私、退学か・・・」
と言いかけたところで、いろんな不安要素が頭の中で出てきた。
「まあ、いいや」
その一言で不安はなんとかなった。
「まあいいやって、よくないでしょうがよ」
まあね~~、と流しながらも会話は続いていく。
こうやって普通な会話をいつも通りにできるのも、二人とも楽天家だからだろう。
「あっ!それよりやってほしいことあるんだけど!みずきの家行っていい?」
「いいよ~、楽しい話しようよ!」