23.三橋大樹に電話
春。
陸上部が外を走り続けている。
みさきは腹を大きくしながらも、放課後、スマホでどこかに電話をかける。
「やあ、元気~」
隣でそれを聞いていたみずきは、なんか英語翻訳みたいだと思う。
電話を掛けた先は、赤ちゃんをもらってくれる三橋夫婦だ。
「おお、なんだい?あかちゃんが爆発した?」
そうブラックジョークを交えて言ってきたのは、夫の大樹さんだ。
「それより前にもらったCD聴いたよ~」
「感想は?最高、最低、それとも中の中?」
「ん~かわいかった」
「へへ、かわいかったね~」
大樹さんは名前も同じだけどなんか大輝と似てるんだよね~
別にLOVEの好きじゃなくてlikeの好きだけど。
「強烈な音楽に聴きなれちゃってるから、なんかかわいく聞こえちゃう」
「それは恐れ入ったよ」
となりで聞いているみずきは音楽はよく聞く方だがふたりの会話はよくわからない。
「じゃあ、次は私が大樹さんにお勧めを紹介する番だね。」
「ふふ、楽しみにまってるよ。」
「待ってなくていいよ、今送るから。」
「おお、そうか」
「それより、エロサイト見てないでちゃんと作曲しなよー」
「ふふ」
と優しく笑っている声が耳に届く。
「そっか勉強しろよ」
「声が聴きたくて電話しちゃった・・・」
「面白い冗談だ。ま、がんばるよ、じゃあ」
「じゃ」
二人の電話は終わった。
「なになに~。新車の大輝を安く売って、中古の大樹さんを買うってこと~」
みずきが電話の会話でいろいろと察してしまったらしい。
「そんなんじゃない。」
そういってみさきは教室から出ていく。
「ちょっと~」
後からみずきも追いかけてくる。




